実験計画のワークフロー

実験計画法(DOE)のワークフローとは何ですか?

実験計画(DOE)は、複数の入力変数(因子)が出力変数(応答)にどのように影響を与えるかをよりよく理解するために、実験を計画、実施、分析するための体系的なアプローチです。計画された実験は、原因と結果の関係を特定し、工程や製品を最適化するのに役立ちます。DOEのワークフローは、計画された実験を適切に実施するための典型的な手順を記述しています。

DOEのワークフローは、定義、モデル、計画、データ入力、分析、予測の6つのステップで構成されています。実験を設計するためのフレームワークは、どの実験計画手法を選んでも変わりません。

これらのステップは単一の実験に関するものですが、実験目的を達成するには複数の実験が必要になる場合があります。DOEのすべてのステップにおいて、専門知識が不可欠です。

図1:DOEフレームワークは、定義、モデル、計画、データ入力、分析、予測で構成されています。

定義

実験の目的は、DOEプロセス全体を通じて、どのような計画を設定するかの指針となる必要があります。定義のステップで答えるべき一連の質問がありますが、それらはすべて、実験終了時にどのような情報を得たいかに関するものです。

DOEフレームワークの定義ステップで回答する必要がある質問には、次のものがあります。

DOEの一般的な目的は、多くの因子から重要な因子を特定すること(「スクリーニング」と呼ばれる)、または工程を理解し最適化することの2つです。実験の目的が複数ある場合があります。

目的を確立した後、応答および因子が定義されます。応答は実験中に測定され、因子は応答への影響を理解するために実験中に変化させます。

図2:この例では、どの因子設定が最大の収率と最小の不純度をもたらすかを特定することによって、工程を最適化することに関心があります。収率および不純物が応答であり、pH、温度(Temperature)、ベンダー(Vendor)が因子です。

モデル

モデルステップでは、初期統計モデルを指定します。計画された実験とは、提案された統計モデルを支持するために実施される試行の集合です。指定した統計モデルは、実験の目的に直接関連しています。1次モデル(主効果のみ)は、重要な因子の特定(スクリーニング)に一般的に使用されますが、2次モデル(交互作用項および2乗項を含む)は、応答の予測と最適化においてより高い柔軟性を提供します。使用する計画アプローチによって、統計モデルは計画の設定に暗黙的に含まれるか、推定したいモデル効果のみを含む統計モデルを指定することができます。

図3:応答曲面計画の初期モデルとして18回の実験が選択されます。

計画

計画のステップでは、モデルステップで選択された内容に基づいて計画が生成されます。計画の各行は1回の実験であり、実験したい因子の組み合わせを含んでいます。計画は、提案された統計モデルを推定するために必要な実験の数と、実験誤差を推定するための追加の実験数で構成されています。計画の評価もこのステップで行われます。計画の評価は、計画の強みと限界を理解し、実験の目的に応じて必要な情報が計画に含まれていることを確認するために使用する一連のツールです。計画の評価を使用して、2つ以上のデザインを比較し、トレードオフを理解することができます。

図4: 18回実験の実験用データテーブル

データ入力

データ入力のステップでは、実験の順序に従って実験し、各実験の応答がデータテーブルに記録されます。

図5:実験は計画テーブルの各行に示された因子の組み合わせを実施します。応答値はデータテーブルに記録されます。

分析

解析ステップでは、最初に指定された「完全な」統計モデルを実験データにあてはめます。スクリーニングでは、モデルは主効果で構成されますが、2因子交互作用の一部またはすべてで構成されることもあります。工程を予測または最適化する際、モデルには通常、2次効果(因子間の交互作用や2乗項)が含まれます。一般的な統計モデルとしては、多重線形回帰モデルがあります。影響のない(有意でない)効果は、初期の全効果のモデルから削除して、縮小モデルを作成できます。実験中に複数の応答が収集された場合、各応答に対して個別のモデルがあてはめられます。

図6:効果を推定するための初期モデルを使用して回帰モデルが作成されます。実線の緑色の線は、統計的に有意であり、応答の収率に影響を与える項目です。全効果のモデルが表示されています。

図7: 「最良のモデル」ボタンは、「全効果のモデル」から有意でない項を削除することにより、モデルを縮小します。「最良のモデル」が表示されています。

予測

このステップでは、分析ステップで縮小されたモデルを使用して、応答の将来の値を予測します。応答目標が指定されている場合は、それらの目標を満たすと予測される因子設定を見つけます。このモデルは内挿モデルであり、計画で特定の水準が設定されていなくても、因子範囲内のすべての水準に対しての予測値を算出できることを意味します。

図8:予測プロファイルは、どの因子設定が最大の収率と最小の不純物を生み出すかを示しています。この場合、pHが7.14、温度が33.70で、「Fast」ベンダーが最大の収率と最小の不純物を生み出します。