エイツーヘルスケア株式会社

JMP Clinicalのフル機能を活用し、先進のRBMビジネスを立ち上げ

課題先進のRBMビジネスの立ち上げにあたり、臨床試験で集められるデータを多角的に分析できる統計解析ツールが求められた
ソリューションRBMに必要な機能を網羅し、プログラミング経験がなくても直感的に操作することが可能
結果グラフや散布図を作るにあたってプログラムを組む必要がなく、RBMとの親和性も高い。ベイズ統計学を適用したRBMを運用できる

エイツーヘルスケア株式会社(以下、A2 ヘルスケア)は、RBM(Risk Based Monitoring)事業を本格化させるためにJMP Clinicalを採用。JMP Clinicalの有効性・安全性レビューを活用し、製薬会社から受託するCRO業務にRBMを採り入れ、臨床試験の品質を効果的に、効率よく担保する運用を実現しようとしている。日本のCROとして初めてRBMの専門部署となるセントラルモニタリング部を設立し、すでに複数のプロジェクトを受注した。

国内CROとして初めてのRBM部門

A2ヘルスケアは、製薬会社および医療機器メーカーに対して、Phase IからPhase IVまでのCRO(Contract Research Organization)サービスをトータルに提供する企業だ。厳格な規定のある臨床試験プロセスのアウトソーサーとして、国内のみならず、海外子会社やパートナー企業・施設との提携により、グローバルにビジネスを展開している。

その同社は、2013年より、RBMの事業可能性を探ってきた。RBMはオンサイトモニタリング、オフサイトモニタリング、セントラルモニタリングを組み合わせ、限られたリソースをデータやプロセスの重要性やリスクに応じて最適化するモニタリング手法である。被験者保護と臨床試験データの質の確保を目的としており、状況に応じたモニタリング手法を用いて、治験プロセス全体の効率化を図っている。

同社は1年をかけて、同じくRBMを検討している大学やメーカー各社との勉強会を実施した。教科書に『Risk-Based Monitoring and Fraud Detection in Clinical Trials Using JMP® and SAS®』*1を選定し、担当を決めて輪読した。勉強会では、JMP Clinicalを目にする機会もあったという。

検討の結果、RBMを本格的にスタートすることが決まった。これまでもRBM試験の構築~運用を行ってきたが、さらにRBMに対して注力するため、2016年4月、全社横断的な新しい組織として各部門から精鋭を集め、開発戦略本部セントラルモニタリング部を創設。モニタリング業務を行ってきた福升 悠一氏と近藤 秀宣氏、データマネジメントおよび解析業務を行ってきた小幡 智憲氏と樋口 天裕氏が専任担当となった。

プログラミング経験がなくても使える

開発戦略本部 本部長 林 行和氏は、「臨床試験で集められるデータを見る際、モニター、DM、統計解析等、立場によってその見方、着目ポイントは変わってきます。そのいずれもデータの質を担保するのに必要な見方です。多角的にデータを見られるよう、各部から人材を集めました。専任の4人は準備段階から関わってくれていて、さらに各部署から兼務の人材も出してもらうことで、バランスの取れた組織として始動しました」と話す。

JMP Clinicalはその操作性の高さによって、すぐに浸透した。部内で統計解析の経験があるのは小幡氏のみ。樋口氏はデータベース周りが得意だ。しかし、福升氏と近藤氏にプログラミング経験はほとんどない 。「JMP Clinicalなら、基本的な操作はすべてボタンをクリックするだけです。私たちのようにプログラミング経験がなくても、直感的に操作できることが魅力です」(福升氏)。

SASプログラミングに慣れ親しんだ小幡氏にとっても、JMP Clinicalは斬新だったとい う 。「SASで解析した出力結果を共有する場合、会議の場で用いる図表は固定されてしまっています。ところが、JMP Clinicalの画面を見ながら会議をすると、出力結果を見ながら、”2カ月前の同図表はどうだったの?”と疑問を持った場合、その場で図を動かせます。データのフィルタリングを瞬時に行い、それを図に一瞬で反映させてその場で評価できるのです」(同氏)。

JMP Clinicalでは、統計解析モデルに一部SASの機能も含まれている。RBMに必要な機能をSASで網羅した上で、JMPの優れたユーザー・インターフェイスで直感的に操作できるメリットは大きい。

たとえば、セントラルモニタリング部からモニターへ出す指示を検討する際には、詳細な情報まで検証することが必要だ。その際に、全症例を図表にプロットし、全員が画面を眺めながら、外れ値をドリルダウンして検証。それぞれの専門分野から意見を出し合い、指示内容を突き詰めていくことができる。

近藤氏は、「モニターを担当していたときに、JMP Clinicalを使えていれば良かったと感じます。モニターは、恣意的な目でデータを確認してはいけませんが、JMP Clinicalを使えばまっさらな目で症例データをすべて見ることができます。おかしなデータが出たときの反応も変わってくるでしょう」と話す。

臨床試験で厄介なのは、外れ値だ。極端な外れ値の発生は、入力ミスや治験プロセスの誤りによって引き起こされている可能性もある。

「うまく運用できれば、セントラルと、オンサイトのモニタリングのリーダーが同じデータを見ながらモニタリングに関して検討をすることができるでしょう。一方、モニター一人ひとりがそのデータにアクセス出来てしまうと、”外れ値を発生させたくない”という心理作用が起こるリスクもあります。どのように活用するか慎重に見極めつつ、われわれ独自のRBM運用を実現したいと考えています」(林氏)

ビジネスの指数関数的な伸びを目指す

A2ヘルスケアでは、JMP Clinicalを使い始めたばかりだ。グラフや散布図を作るにあたって、プログラムを組む必要はない。必要な図表などは、関係する部門に話を聞きながら、順次整備している。「いま簡単にできると喜んでいることが、もっと簡単にできるかもしれません。これからJMP Clinicalをさらに使い込んで、業務をさらに効率化していきます」(樋口氏)

顧客に提案していくのは、セントラルモニタリングに統計要素を加えたセントラル・スタティスティカル・モニタリング(CSM、Centralized Statistical Monitoring)。JMP Clinicalの機能をフルに活用し、ビジネスの指数関数的な伸びを目指す。

JMP Clinicalでは、ベイズ統計学と呼ばれる統計学の方法を利用することが出来る。古典的な手法である頻度論的方法に対し、ベイズ統計学はRBMに合うと林氏は考えている。「頻度論では、集めたデータからデータの背後にある構造を推測しますが、ベイズ統計学は、さらにその先にどのような事がどれくらいの確かさで起こるかを予測することにも用いやすいと考えています。RBMは先を予測しながら進めていかなければなりませんから、JMP ClinicalはRBMと極めて親和性が高いのです。ベイズ統計を弊社の強みとして、”Bayesian RBM”をCSMの柱にしたいと考えています」(林氏)

左から、小幡 智憲氏、福升 悠一氏、林 行和氏、近藤 秀宣氏、樋口 天裕氏

*1:JMP Clinicalの開発者であるRichard Zink(米国SAS Institute Inc.)の著書

※本事例は、2016年5月時点のものです。


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