ユーザー事例

日本ゴア株式会社

信頼性と効率性、リスクをバランスして実験計画を進めるために、
だれもが使える統計解析ツール、JMPは不可欠

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日本ゴア株式会社

チャレンジデータ解析によってできることの幅を広げ、統計を業務に活用する社内文化を根づかせるために新たな統計解析ツールが求められた
解決策ほぼすべての研究者がJMPを利用できる環境を整備。JMPを利用して効率的な実験計画を立案・実行している
結果製品の品質に影響を及ぼす因子と水準の最適な組み合わせを、合理的かつ効率的な実験を通じて検討することが可能に。社員の統計教育も進み、JMPの活躍の場が広がった

日本ゴア株式会社(以下、日本ゴア)は、2001年から長い間JMPを利用してきた。統計のスペシャリストでなくても直感的に利用でき、業務で使いたい範囲ならプログラムを組む必要のない手軽さが受け、利用者は増加。今では業務のさまざまな場面で、多くの技術者がJMPを使うようになった。米国本社、海外支社でもJMPユーザーは多く、ノウハウの共有も進めている。

SASと表計算ソフトの中間が必要

米W. L. Gore & Associatesの日本法人である日本ゴアは、延伸多孔質ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)技術をコアに、応用製品の研究開発、製造、販売などを手掛けている。同社は、医療、半導体、航空宇宙、一般工業、自動車、化学などの幅広い分野でビジネスを展開しており、製品ラインナップは多岐にわたる。その中で一般に最もなじみ深い存在は、防水・透湿性素材のGORE-TEX®ファブリクスだろう。雨を防ぎながら蒸れにくいアウトドア用のアウターとして、代表的な存在になっている。

同社のビジネスでは、顧客の開発したい製品ごとに、求められるスペックが変わってくる。試作を繰り返し、スペックをみたす必要があり、そのデータ分析はビジネスプロセスの中で重要な位置を占めていた。2000年、同社は新たな統計解析ツールの検討を開始した。技術者が扱いやすくかつ解析結果をわかりやすく共有できるツールが求められていた。

同社 ポリマーサイエンスセンターStatistician 山本 達郎氏は、「当時、研究開発や製造技術などの分野の統計業務においては、一部のエキスパートがSASを利用していました。一方、研究者の多くが使っていたのは代表的な表計算ソフトです。表計算ソフトでは、できることが制限されてしまいますから、統計を業務に活用する社内文化が根づきにくい状況にありました」と語る。

「われわれが求めていたのは、簡単なことしかできない表計算ソフトと、プログラミングが必要なSASの、ちょうど中間にあるソリューションだったのです」(山本氏)

W.L. Gore

「われわれが求めていたのは、簡単なことしかできない表計算ソフトと、プログラミングが必要なSASの、ちょうど中間にあるソリューションだったのです。」

山本 達郎氏
日本ゴア株式会社
ポリマーサイエンスセンター Statistician

JMPが社内標準の統計解析ツールに

日本ゴアは、JMPを含む複数のツールを調査・検討した。当時、トライアルの対象になったのは英語版のJMP 3。すでに米国本社はJMPを使用しており、さまざまな情報を得ながらテストした結果、プログラミングをすることなく基本統計や複雑な多変量解析を含む広範な統計手法を扱えるJMPが技術者にとって不可欠なツールになるという確信を得ることができたという。

山本氏は、「機能の豊富さや使い勝手はもちろん、視覚的に解析結果の妥当性を検証できるのが魅力でした。多変量モデルを視覚的に理解できるプロファイル機能も優れており、JMPを選択して正解でした」と語る。

日本ゴアは2001年より、社内標準の統計解析ツールとしてJMPの本格運用を開始した。まずは、JMPを使用して解析に特化した統計教育を実施し、JMPの有用性を社内に啓蒙。「業務を効率化するためにJMPが不可欠」という共通認識は徐々に形成され、JMPをより積極的に活用する土壌が醸成されていった。

現在、ほぼすべての技術者は、JMPを利用して効率的な実験計画を立案・実行している。これにより、製品の品質に影響を及ぼす因子と水準の最適な組みあわせを、合理的かつ効率的な実験を通じて検討することが可能になった。

同社が活用を深めると共に、JMPも成長した。バージョン4が発売された時点で日本ゴアに導入され、データ解析に特化して活用が始まった。その後、徐々にJMPは活躍の場を広げていく。バージョン8のころには、技術者が必要とするデータ解析及び実験計画の機能が網羅されてきた。このタイミングで、JMPを使った実験計画教育が開始された。そのころには、国内だけでなく、グローバルな標準統計ツールとして利用されるようになっていた。

教育プログラムを充実

日本ゴアが2010年より開始した、統計導入教育プログラムは、統計の知識がほとんどない技術系新入社員を対象としたものだ。後に本格的な統計教育を行うことを前提とし、一変量解析、二変量解析、多変量解析、スクリーニング計画、応答曲面計画、確認実験などの10の演習を組み込んで4日間で行う。目的は、「統計を知り、好意的にとらえてもらうこと」、「JMPの基本的な操作に慣れてもらうこと」、「統計的手法を活用して課題を解決する社内の統計チームとのつながりを強化すること」などだ。

山本氏は、「実験の信頼性と効率性のバランスをとれるのは計画段階だけ。事前の計画次第で得られる結果の信頼性や再現性が異なってくるため、何を知りたいかを具体化した上で様々な要素を加味して実験の計画を立案することが重要です。JMPのカスタム計画では様々な要素を考慮した上で制約のある実験計画を柔軟に行うことができます。過去の実績や経験にもとづいていくつかの条件をピックアップする狙い撃ち実験では真の最適条件にたどり着けません。どのくらいの範囲を探索するかを定め、最適な条件を徐々に絞り込んでいく最適化のアプローチを意識させています」と話す。

前述の技術系新入社員統計教育では演習に紙ヘリコプターを使用している。紙ヘリコプターの滞空時間を測定し、結果を多様な手法で分析しながら、最終的には要求スペックに対してばらつきの少ない紙ヘリコプターを作り上げるというものだ。試作と実験、分析を繰り返すプロセスは、実業務と同じステップを踏むため、実験計画の大切さや統計の正しい使い方、業務プロセスの中でのJMPの活かし方が身につく。

教育プログラムを終えた技術系新入社員は、配属後にすぐさま業務でJMPを使用することになる。かつて、JMPを業務に使用し始めたころは、計画があやふやなまま取得したデータを統計チームに渡し、「データがそろったから解析してほしい」という依頼もあったという。

教育が行き届いた現在は、各技術者が実験前に統計チームに相談し、そのアドバイスをもとに実験計画を立案・実行するというサイクルが生まれた。日本ゴアは今後、業務システムのデータベースを強化していく計画だ。JMPのデータベースサーバへの接続機能がここでも活かされるだろう。これにより、新たなデータ活用の道が開かれていくだろう。


※ 本事例に記載の内容は2015年11月時点のものです

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