株式会社村田製作所

JMPを通じて統計を学び、モノづくりに活かせる統計的思考力、実践力を育てる

チャレンジ自社製統計解析ソフトの運用に限界が見えており、統計機能が豊富で直感的に操作できる新たな統計解析ソフトウェアを求めていた
解決策JMP研修によりJMPスキルを持つ人材をモノづくりの現場へ送り込み、JMPおよびHOPEアドインによる設計最適化を実現し、品質目標を達成する
結果統計解析の研修においてJMPを活用することで、新入社員やステップアップしたい社員がモノづくりの基本を学べるようになった

株式会社村田製作所(以下、村田製作所)は、JMPを使って統計教育を行っている。社員は、JMPを通して統計を学び、それを業務に活かす。村田製作所のJMP導入と同時に始まった社内研修は、いまでは同社の新入社員やステップアップしたい社員などが“モノづくりの基本”を学ぶ場としても活用されている。

JMPの扱いやすさを評価

村田製作所では、新入社員向け入社時研修や各職種の基礎教育、特定分野のスキル研修まで、約20名の講師がアイデアに富んだ研修を企画し、実行している。

JMPを全社的に利用し、大きな成果を生み出していることでも知られる村田製作所にあって、統計解析の研修は大きな役割を占める。この部分を担当しているのが、モノづくりに活かせる統計的思考力、実践力を育てる濱口 勝重氏だ。村田製作所の品質管理部門に勤め、長年社内教育に取り組んできた。村田製作所がJMPを 導入した2001年当時からJMPにかかわる統計教育の生き字引的な存在だ。

濱口氏は、統計解析の専門家ではなかった。MS-DOSベースで社内開発した統計解析ソフトウェアのWindowsへの移行に、ソフトウェアに詳しいエンジニアとしてかかわったのが、統計解析との出会い。その後、Windowsのバージョンアップに伴い、自社製統計解析ソフトの運用に限界が見えたことで、同社はJMPを導入することになる。「社内に統計解析とソフトウェア開発の両方ができる人材はいませんでした。新たな人材の開発に投資をするか、優れたソフトウェアを導入するかという観点でも調査し、ユーザー・フレンドリーなJMPならソフト開発や統計の専門家を新たに雇い入れる必要はなく、いままでより高度なことをできると判断しました」(濱口氏)

モノづくりの基本を統計で学ぶ

濱口氏は、ソフトを浸透させるためには、使い方をレクチャーするだけではなく、それを使って何を達成するのかをきちんと共有することが大切です、と話す。JMPは、自社製ソフトが備えていなかった機能を多く持ち、かなり高度な分析ができた。そこで、リアルな業務をイメージできるハンズオン・トレーニングの資料を作成し、実際にJMPに触れてもらいながら説明会を行うことにした。期間は約半年。国内主要拠点と関連会社向けに研修を実施した。

この定着化プロセスにおいて、濱口氏は統計について学ぶ必要性を痛感したという。「JMPはとてもわかりやすいツールです。ただ、解析の方法はわかるが、それをどう活かすかが分からない。そのためには統計の知識が必要でした」。自ら統計を学ぶとともに、当時の所属長に統計研修の必要性を訴えた。さらに、人事部にも交渉した結果、総合職入社の新入社員全員に対する統計研修が実現した。

新人研修は、座学でJMPと統計を学ぶコースからスタート。濱口氏を中心に編成され、外部講師も含めた講師陣のノウハウを取り入れて錬成し、いまでは模擬体験型の研修へと姿を変えている。具体的に見てみよう。村田製作所に入社した新入社員は、基本的な研修を経て配属が決まると、半年間の工場実習に出る。そうしてモノづくりの現場を実体験した新人たちに、1週間の統計研修を実施する。新人たちは5~6人ずつのチームに分かれ、紙でグライダーを作り、その精度を競うことになる。試作を繰り返し、規定されたスペックの枠内で精度を高めていく。品質改善への努力と、設計条件の決定というモノづくりの基本を、JMPを通して学ぶことになる。

濱口氏は、「JMPのマクロを実行して、結果の出し方をレクチャーするところから始めるため、受講時にJMPの深い知識は必要ありません。概要とアウトプットの解釈について伝える程度のサポートにとどめ、自学自習を促せるプログラムにしています。WordやExcelを使える人なら、だれでもJMPを使えますから」と話す。「統計の中身はぶれませんし、JMPのアウトプットもぶれません。自分たちが作ったものを分析して、それを改善していくプロセスは、現場に出れば必ず活きてきます」


   改善を繰り返し、仕上がった50機の紙グライダーで、最終日に“試験”を行う。ある場所から
   飛ばした機体が指定範囲に落ちるとポイントを加算し、チーム間で順位を競うのだ。
   何度研修を行っても、全く同じ結果にならないことは、講師としても面白いという。

HOPEを実験計画で活用したい

現在、国内でJMPが多く使われている業種のひとつは製造技術部門だ。工程データを分析し、不良率の低減に役立てている。開発設計部門でも、パラメータ設計や実験計画において、徐々に浸透し始めている。新人研修で学んだことを振り返りたい社員や、中途入社の社員向けの研修をはじめ、さらに高度な内容を学べるものまで、研修のラインアップは拡大している。

中でも濱口氏が力を入れているのが、超構造の関数に基づく設計手法「超設計HOPE※」だ。HOPEはJMPにアドインすることができ、多くの業務に使えるレベルにある。実際に実験計画法の経験のある技術者に見てもらい、手ごたえを感じたという。

「これまでも、品質目標を達成するための実験計画法による最適化は行われてきました。しかし、そこで得られた最適条件がコストとメンテナンス性などのために量産条件として採用されないことも散見されました。本当の意味での設計最適化に、HOPEは大きな役割を果たしてくれると確信しています」(濱口氏)

*「超設計HOPE」は、慶應義塾大学客員教授 高橋 武則氏が、1980年以来今日まで取り組んでいる高度なロバストパラメータ設計も可能な設計理論である。研究途上の2007年よりSAS Institute Japan㈱JMPジャパン事業部との協同研究で超設計HOPEを支援するHOPEアドインの開発が始まり現在に至っている。近年になり理論の基盤が固まり多様な機能も整理され、それを実現するHOPEアドインの開発・整備もかなり進展した。高橋氏をはじめ、各企業や大学、団体などのユーザーが定期的に集まり「HOPE研究会」も行われている。濱口氏も主要メンバーの一人である。

※ 本事例に記載の内容は2018年4月時点のものです

村田製作所における統計教育体系

統計の中身はぶれませんし、JMPのアウトプットもぶれません。自分たちが作ったものを分析して、それを改善していくプロセスは、現場に出れば必ず活きてきます
濱口 勝重氏

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