ユーザー事例

足跡がFIT(フィット)する場合

WildTrackは、JMP®およびFootprint Identification Technique(足跡識別技術)を使用して絶滅危惧種を救済

WildTrack

チャレンジ
野生の多くの絶滅危惧動物は把握が難しく、それらの個体数を数えるのは容易ではなく、また、保全研究用のリソースを入手するのも簡単ではない。個体数調査を実施するために、非侵襲的で、費用のかからない、持続可能な方法が必要
解決策WildTrackの生物学者は、JMPとFITアプリケーションを使用して、絶滅危惧種の動物の足跡に関するアルゴリズムを作成
結果特定の地域にいる動物の個体数を把握するためにデータが使用されるので、適切な保全プログラムの設定が可能

調査で訪れた地で、現地の人々(ブッシュマン)に笑われたときは、ほとんどすべての研究は本当の意味で軌道に乗っているとは言えないわけですが、実際、同様なことをSky Alibhai教授とZoe Jewell教授は経験しました。彼らは、ジンバブエの広域でクロサイの追跡をしていました。Alibhai氏とJewell氏は、クロサイに無線付きの首輪を取り付け、クロサイが歩き回るときに発生するビープ音を聞いてそれらのモニタリングを行っていました。

彼らを手伝っていた現地の人々(ブッシュマン)は、笑って、こう尋ねました。「なぜ上を眺めているのですか?下を見るべきですよ。」

 新しい非侵襲的な方法は、動物学者による個体数のモニタリングを支援

彼らが見た足跡が新しい保全アプローチの基礎となり、コンピュータによる分析と数世紀にも及ぶ知恵を融合させました。これ以降、Alibhai氏とJewell氏は、絶滅危惧種の非侵襲的なコスト効率の良いモニタリングに特化した非営利保全組織である「WildTrack」を設立しました。

1990年代に現地のブッシュマンたちと一緒に行動したとき、この研究者夫婦による保全チームは、個別の動物たちが残した足跡から多くを把握できることを学びました。例えば、性別や年齢を判断することができました。また、同一種の動物をそれぞれ見分けることができました。動物は、動揺させられたり、何かを固定されたり、首輪を着けられたり、皮膚に刻み目を入れられたり、何らかの仕方で危害を加えられたりする必要はありませんでした。

同時に、彼らは足跡による個体数調査の考え方への取り組みを始め、既に確立されていた個体数調査の慣習に関連する問題点を学びました。彼らが収集したクロサイに関するデータの綿密な分析により、一部の保全プロセス(固定)が実際にはメスの繁殖力に影響を与えていたことが明らかになりました。Alibhai氏は次のように説明しています。「データを見て、「これは常軌を逸している」と言いました。私たちはこの動物を救おうとしていたのに、逆効果の方法を使っていたのです。」

このときから、彼らは信頼性があり倫理的であるために、動物たちに危害を与えない方法でデータを収集すべきであることを決心するようになりました。Alibhai氏は、次のように語っています。「私たちの信念は、非侵襲的なモニタリングです。保全に関して倫理的に良いことは、科学的にも良いことなのです。」

 JMP®のFITアプリ

保全への熱意と現地のブッシュマンから学んだ教訓を活かして、Alibhai氏とJewell氏は、統計的発見のためのソフトウェアJMPに取り組み始めました。現在、このチームはJMPで構築された分析アプリケーションを使用しており、彼らはこれを「FIT」(Footprint Identification Technique)と呼んでいます。

ここで、WildTrackのFITがどのように動作するかを説明します。個別の足跡のデジタル画像が現場で収集され、JMPにアップロードされます。各画像は、砂、泥、雪または他の自然の生息環境における動物の足跡です。ここでの課題は、足跡を特定し、足跡と全く同じ背景からそれを抽出することです。JMPがそれを可能にします。グラフィックウィンドウで、チームは、画像上に一連の目印(輪郭のようなもの)を作成します。JMPは残りの部分を補完し、画像にポイントを付加し、視覚情報を数値に変換します。科学者にとって、数値が真実を明らかにしてくれます。

結果は、各個別の動物に関する、一意な識別情報となります。これは人間の指紋に似たものです。GPSの情報と組み合わせることにより、驚くべきことに、チームは特定の地域の特定の動物に関する正確な個体数を推測することができます。

カスタマイズしたJMPで世界中の保全共同研究を促進

どこまでがJMPで、どこからがFITアプリケーションなのでしょうか?科学者がこの特有の方法でJMPを使用するのを手助けするため、Alibhai氏とJewell氏はJMPに特化したSASの開発者とパートナーシップを結びました。Jewell氏は、「私たちは実際のところ、画像処理、データ分析、およびマッピングを含む機能を、JMP上に構築して、ユーザーが使いやすいようにしています」と語っています。多くのJMPユーザーと同様に、Jewell氏はJMPをカスタマイズしてプロセスを再現可能にすることに必要性を感じていました。FITは、野生生物学者および他の保全研究者のニーズに応えました。「世界中の他の人々もこれを使用することができます。」

また、多くの保全研究者(および動物たち)は、WildTrackとSASの15年にわたるコラボレーションの恩恵を受けてきました。Alibhai氏とJewell氏は、このテクニックとソフトウェアを広範囲に渡って使用してきました。北極に行ってホッキョクグマの個体数調査をしたり、クロサイ、シロサイおよびチーターの研究のためにジンバブエやナミビアに行きました。中国でシベリアトラ、ネパールでベンガルトラ、テキサスでマウンテンライオンの研究を行いました。中央アメリカおよび南アメリカでの研究では、バクに関する論文を執筆し、その後スペインとポルトガルに行ってスペインオオヤマネコの研究を行いました。

彼らが共同研究した組織は、WWFやNational Geographicに匹敵する組織です。また、2014年1月、中国政府の依頼を受けて、四川省に赴き、皆に愛されているジャイアントパンダに関するプロジェクトを開始しました。

Jewell氏は、動物が絶滅に瀕しているかどうかに関わりなく、すべての保全プロジェクトの核心に触れるものであるため、彼らの研究は非常に重要であるといっています。「あなたは「何頭いるの?どこにいるの?」と尋ねるでしょう。この答えは、信頼できる保全戦略の基盤になります。それゆえに、私たちにはJMPが必要なのです。」

知識が行動を手助けすることについて、Jewell氏は次のように語っています。「今このときもケニアの村で、JMPはライオンを報復的な殺害の危険性から保護しています。Nicholas School of the Environment at Duke University(ダラム、ノースカロライナ)の学生が、村の畜牛を夜に殺害したのがライオンなのかどうかを判断するために、そこで足跡を収集しています。獰猛なライオンを特定して移動させられれば、畜牛を守ることができるだけでなく、村人が1頭のライオンのためにすべてのライオンを抹殺してしまう危険性を防ぐことができます。」

保全に関わる決定は、大きなものであれ、小さなものであれ、実際のデータに基づいて下すことができます。Jewell氏は、「世界中で、環境学者や保全研究者の意思決定者と協同して、効果的な方針を導入してきました」と語っています。

Alibhai氏は、FITは人生の成果であり、彼らの夢であると述べています。彼は、次のように語っています。「私たちは保全生物学者です。それが私たちの関心事であり、動機であり、生きがいなのです。」

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