パラメトリックな許容区間エクスプローラでは、指定の許容区間に対する標本サイズを計算することができます。「許容区間」とは、母集団の観測値が割合pだけ含まれている区間を、信頼水準100(1 – a)で求めたものです。「パラメトリックな許容区間エクスプロ―ラ」を起動するには、[実験計画(DOE)]>[標本サイズエクスプローラ]>[信頼性]>[パラメトリックな許容区間]を選択します。標本サイズ・有意水準・ばらつき・区間の長さにおけるトレードオフの関係を調べることができます。
ラジオボタン・テキストボックス・メニューによって、実験や調査の仮定(仮説検定に用いる前提)を設定します。それらの設定を変更すると、プロファイルが更新されます。プロファイル上で十字をドラッグすることでも、設定を変更できます。
区間の種類
区間の種類を指定します。片側区間の場合は[下限]・[上限]のいずれか、両側区間の場合は[両側]を選択します。
信頼水準
信頼水準(1–a)を指定します。
分布
母集団の確率分布を指定します。[正規]・[対数正規]・[指数]・[Weibull]・[最小極値]のいずれかを選択してください。
割合
母集団全体のうち、区間に含まれる観測値の割合を指定します。
プロファイルは、標本サイズが許容区間の長さにどのような影響を与えるかを示します。プロファイルにおいて、標本サイズや確率分布パラメータσを変更すと、「区間のマージン」が更新されます。また、プロファイルにおいて「区間のマージン」を変更すると、標本サイズが更新されます。 現在の設定において「区間のマージン」を満たす標本サイズを求めるには、[実行]をクリックします。
目標
ここでは何を求めたいかを指定します。標本サイズしか選択できません。
区間のマージン
標本サイズ(N)から求めた許容区間の幅と、指定された割合を含む区間の点推定値の幅との差を指定します。その他の設定が同じである場合、標本サイズが大きくなるほど、「区間のマージン」は短くなります。
標本サイズ
許容区間をある程度の幅にするのに必要な標本サイズ(実験回数・実験ユニット数・試料の個数・観測数)。
σ
(指数分布とWeibull分布の場合は表示されません。)確率分布パラメータであるσ(シグマ)を指定します。正規分布の場合は、母標準偏差です。
尺度パラメータ
(指数分布とWeibull分布の場合のみ表示されます。)確率分布の尺度パラメータ。
ベータ
(Weibull分布の場合のみ表示されます。)Weibull分布の形状パラメータ。
「エクスプローラ」の赤い三角ボタンのメニューとレポートのボタンを使って、以下のオプションが使用できます。
シミュレーションデータ
データテーブルが開き、エクスプローラでの設定に基づいてシミュレートしたデータが表示されます。応答列の計算式は、乱数を生成するための計算式となっており、指定された設定に対応したものになっています。テーブルスクリプトを実行してシミュレーションデータを分析します。
収集用データテーブルの作成
データの収集に使える新しいデータテーブルが作成されます。データテーブルには、データを分析するためのスクリプトも含まれています。
設定を記録
現在の設定が「設定の記録」の表に保存されます。複数の異なる計画を保存して、比較することができます。詳細については、標本サイズエクスプローラの「設定の記録」を参照してください。
デフォルトに戻す
すべてのパラメータとグラフをデフォルトの設定にリセットします。
「プロファイル」の赤い三角ボタンをクリックすると、次のようなオプションが表示されます。
最適化と満足度
設定を最適化することができます。『プロファイル機能』の「満足度プロファイルと最適化」を参照してください。
メモ: 標本サイズエクスプローラのレポートは、*.jmpdoeファイルとして保存できます。ファイルを開くとエクスプローラのウィンドウが表示されます。閉じる時は、ファイルを保存するかどうかを確認するメッセージが表示されます。
この例では、パラメトリックな許容区間エクスプローラを使って、母集団の90%を信頼水準95%で含む許容区間の「区間のマージン」を求めます。
この「区間のマージン」は、標本サイズ(N)から求めた許容区間が、指定された割合を含む区間の点推定値から、どれだけ大きくなっているかを示すものです。平均が0で標準偏差(シグマ)が1の正規分布の場合、母集団の90%を含む区間の点推定値は、-1.645から1.645となります。つまり、この幅は3.29です。
1. [実験計画(DOE)]>[標本サイズエクスプローラ]>[信頼性]>[パラメトリックな許容区間]を選択します。
2. 両側許容区間に対する標本サイズを計算するため、「区間の種類」を[両側]のままにします。
3. 「信頼水準」は「0.95」のままにします。
4. 「分布」は[正規]のままにします。
5. 「割合」は「0.9」のままにします。
6. 「目標」は「標本サイズ」のままにします。
7. 「区間のマージン」は「1」に設定します。
8. プロファイルで、「σ」を1のままにします。
9. [実行]をクリックします。
図29.11 パラメトリックな許容区間エクスプローラ
信頼水準95%で母集団の90%を含む許容区間が、実際の点推定値での区間よりも広くなるのが1以下にするには、標本サイズが30である必要があります。標本サイズを30にすれば、許容区間の幅は、90%を含む区間の点推定値の幅よりも広くなるのを、片方ずつで0.5、両方合わせて1.0程度に抑えることができます。
10. 「パラメトリックな許容区間」の赤い三角ボタンのメニューにある[シミュレーションデータ]を選択します。
11. 「一変量の分布」テーブルスクリプトを実行します。
図29.12 パラメトリックな許容区間のシミュレーション
標本サイズを30としてシミュレーションしたデータの許容区間は、幅が1.88 - (-2.48) = 4.36です。この幅は、平均0で標準偏差1の場合に90%を含む区間の幅(3.29)よりおよそ1単位広くなっています。
メモ: なお、ここでは乱数を用いているので、実際の分析結果は、ここでの結果と異なる可能性があります。
「区間のマージン」は、「与えられた標本サイズにおいて計算された許容区間の幅」と、「該当の割合を含む区間の点推定値の幅」の差を指します。
正規分布に従うことを仮定した場合、割合qの観測値を含む両側許容区間は、次のように計算されます。

割合qの観測値を含む片側許容区間は、次のように計算されます。

ここで
mは、標本平均。
aは、有意水準。
zaは、正規分布のa分位点。
c2α,ν は、自由度nのc2 分布のa分位点。
t1-a,ν,は、自由度nのt分布の(1 - a)分位点。
sは、確率分布パラメータ(正規分布の場合には母標準偏差)。
nは、標本サイズ。
対数正規分布の場合は、上記と同じ式を使い、「区間のマージン」を計算する前に指数を取ります。
指数分布の場合は、下側許容限界の係数は次のような式で表されます。

上側許容限界の係数は次のような式で表されます。

相対的な許容区間の幅は次の式で計算されます。

これらの数値には、それぞれ特定の倍率が掛けられます。指数分布の限界の詳細については、Blischke and Murthy(2000)を参照してください。
最小極値分布に従うと仮定した場合は、許容係数は、次のような上側許容限界の係数で近似されます。

下側許容限界の係数は次の式で表されます。

ここで、


および

詳細についてはBain and Englehardt(1981)を参照してください。