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典型的な変量効果モデルとして、分割実験モデルが挙げられます。この分割実験モデルは、誤差が複合対称の反復測定モデルと等価です。分割実験モデルに見られる効果の種類は、分割実験モデルの効果と、それに等価な反復測定モデルの効果をまとめたものです。これらのモデルでは、実験は2層に分かれています。まず、処理(処置)のうちのいくつかが、1次単位または被験者(個体)に施されます。次に、それらが2次単位に分割され(反復測定実験では、被験者ごとに複数回、測定が行われ)、2次単位に別の処理が施されます。このモデルでは、1次単位(または被験者)と、2次単位の効果が変量効果です。通常、2次単位の効果はモデル効果としては含めず、残差誤差として扱います。
サンプルデータのフォルダにある「Animals.jmp」データを見てみましょう(これは架空のデータです)。このデータは、キツネとコヨーテの餌の捕獲習性について、季節ごとの差を調べたものです。3頭ずつのキツネとコヨーテに印をつけ、それを1年間にわたって定期的に(季節ごとに)観察し、 穴からどれぐらい離れて徘徊したかを平均距離(単位はマイルで、四捨五入した数値)として記録しました。モデルは次の要素で定義されます。
「距離(マイル)」。連続尺度の応答変数。
「種別」。固定効果。値は「キツネ」または「コヨーテ」
「季節」。固定効果。値は「秋」「冬」「春」「夏」
「個体」。各個体を識別する番号。名義尺度。キツネとコヨーテで重複する番号1、2、3が使われています。
1.
上の層は個体間変動(被験者間変動)を扱う層です。キツネとコヨーテを水準とする因子(「種別」効果)について、個体間変動を考慮して検定します。
2.
下の層は、個体内変動(被験者内変動)を扱う層です。4つの季節を水準とする因子(「季節」効果)について、個体内変動を考慮して検定します。なお、個体内変動は、残差誤差として表されます。
「季節」効果に対しては、残差誤差をそのままF統計量の分母として使用することができます。一方、個体間変動は、残差誤差ではなく、「種別」から枝分かれしている「個体」の効果(個体[種別])によって把握しなければなりません。個体間の効果である「種別」F統計量を計算するときは、残差誤差ではなく、この枝分かれ効果を分母にします。
1.
[ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Animals.jmp」を開きます。
3.
「距離(マイル)」を選択し、[Y]をクリックします。
4.
「種別」「個体」を選択し、[追加]をクリックします。
5.
「列の選択」リストで、「種別」を選択します。
6.
「モデル効果の構成」リストで「個体」を選択します。
7.
[枝分かれ]ボタンをクリックします。
「種別」から枝別れしている「個体」の効果(個体[種別])がモデルに追加されます。
8.
枝分かれ効果の「個体[種別]」を選択します。
9.
[属性]>[変量効果]を選択します。
これで、枝分かれ効果が「個体[種別]&変量効果」のように表示され、「種別」効果の誤差項として指定されたことになります。
10.
「列の選択」リストで「季節」を選択し、[追加]をクリックします。
[属性]ポップアップメニューを使って効果を変量効果として指定すると、ダイアログボックスの右上の方に、「方法」オプション([REML][EMS])が表示されます。デフォルトでは[REML]が選択されています。「モデルのあてはめ」ダイアログボックスに指定が完了した起動ウィンドウを示します。
図4.19 「モデルのあてはめ」ダイアログボックス
11.
[実行]をクリックします。
REML分析のレポート(一部)のようなレポートが作成されます。固定効果である「種別」「季節」は、両方とも有意です。「REML法による分散成分推定値」レポートには、「個体」と残差誤差に対して、分散の推定値が表示されています。
図4.20 REML分析のレポート(一部)