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公開日: 04/01/2021

傾きが異なる共分散分析の例

引き続き、「Drug.jmp」サンプルデータを使います。今度は、「薬剤」群ごとに回帰直線の傾きが異なるモデルをあてはめてみましょう。モデルにあてはめた後、この例では共変量xの特定の値で「薬剤」の水準の最小2乗平均を比較します。

1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Drug.jmp」を開きます。

2. [分析]>[モデルのあてはめ]を選択します。

3. 「y」を選択し、[Y]をクリックします。

4. 「薬剤」「x」の両方を選択し、[マクロ]>[設定された次数まで]をクリックします。

これにより、「次数」ボックスで指定した次数までの項がモデルに追加されます。「次数」のデフォルト値は2 です。これで、「薬剤」「x」の主効果と、それらの交互作用である「薬剤*x」がモデル効果のリストに追加されたはずです。

5. [実行]をクリックします。

以上のような指定によるモデルは、前節の傾きが等しい共分散分析モデルに、2つの変数(x4ix5i)が追加したものになります。これは、共変量に対する傾きが「薬剤」の水準ごとに異なるモデルになります。追加される2つの変数は、「薬剤」のダミー変数に共変量を掛けたものです。モデル式は、次のようになります。

Equation shown here

表4.1は、このモデルのコード変換を示しています。なお、交互作用項において、連続尺度の変数は、Xの平均10.7333を引くことにより、中心化されています。

表4.1 異なる傾きを持つ共分散分析のコード変換

説明変数

効果

x1

薬剤[a]

aのとき+1、dのとき0、fのとき–1

x2

薬剤[d]

aのとき0、dのとき+1、fのとき–1

x3

X

Xの値

x4

薬剤[a]*(X - 10.733)

aのときX – 10.7333、dのとき0、fのとき–(X – 10.7333)

x5

薬剤[d]*(X - 10.733)

aのとき0、dのときX – 10.7333、fのとき–(X – 10.7333)

レポートの一部を図4.6に示します。「回帰プロット」に描かれている回帰直線は、傾きが異なっており、平行にはなっていません。「効果の検定」レポートを見ると、交互作用のp値は0.56で、統計的には有意でありません。

図4.6 プロットと交互作用 

Image shown here

スポットライト分析の実行

次に、共変量xの特定の値で「薬剤」の水準の最小2乗平均を比較します。共分散分析モデルなどにおけるこのような比較は、スポットライト分析と呼ばれることがあります。スポットライト分析の詳細については、Spiller et al.(2013)を参照してください。

1. 「応答 Y」の赤い三角ボタンをクリックし、[推定値]>[多重比較]を選択します。

2. 「多重比較」ウィンドウで、[ユーザ定義の推定値]を選択します。

3. [薬剤の水準を選択]の下の3つの値をすべて選択します。

4. xの下の最初のボックスに「12.5」と入力します。

5. [推定値の追加]をクリックします。

これは、3水準の[薬剤]x = 12.5で比較したものを追加します。

6. [OK]をクリックします。

「ユーザ定義の推定値」レポートには、共変量xを12.5に設定した[薬剤]の各レベルの最小2乗平均の推定が表示されます。「ユーザ定義の推定値」の[多重比較]の横にある赤い三角形には、推定値の間の差を検定するオプションが含まれています。

図4.7 「ユーザ定義の推定値」レポート 

Image shown here

7. 「ユーザ定義の推定値」の[多重比較]の横にある赤い三角ボタンをクリックし、[全体平均との比較]を選択します。

図4.8 全体平均との比較 グラフ 

Image shown here

[全体平均との比較]オプションでは、平均と3つの最小2乗平均との間の差に対するANOM(平均分析)を作成します。ANOMグラフから、x = 12.5の応答では、[薬剤]の有意な効果は認められないと言えます。

より詳細な情報が必要な場合や、質問があるときは、JMPユーザーコミュニティで答えを見つけましょう (community.jmp.com).