実験計画(DOE) > カスタム計画の例 > 配合実験計画 > 非配合因子を含む配合計画
公開日: 04/01/2021

非配合因子を含む配合計画

次のAtkinson and Donev(1992)の例では、配合因子と工程因子の両方を含む実験計画を作成します。この計画は、カテゴリカル因子の水準についてバランス(釣合い)の取れた18回の実験を実施し、2次式の応答曲面モデルをあてはめます。「計画の評価」プロットと結果を使い、計画の相対的な予測分散を調べてみましょう。

この計画に含まれる応答と因子は次のとおりです。

応答は「減衰率」です。これは、実験で作られたアクリロニトリル粉末に対して、特定の波長をもつ電磁波の減衰率を測定したものです。

3つの配合成分は次のとおりです。

「硫酸銅(CuSO4)」。範囲は0.2~0.8

「チオ硫酸ナトリウム(Na2S2O3)」。範囲は0.2~0.8

「グリオキサール」。範囲は0~0.6

その他に関係している因子は「波長」。これは、測定に用いる電磁波の波長を表す環境因子で、水準は「L1」、「L2」、「L3」。

「波長」は連続変数ですが、ここで関心があるのは、3つの特定の波長だけです。したがって、「波長」を3水準のカテゴリカル因子として扱います。

この例は、次の手順で進めます。

計画の作成

計画の評価

計画の作成

1. [実験計画(DOE)]>[カスタム計画]を選択します。

2. 「応答名」の欄の「Y」をダブルクリックし、「減衰率」とタイプします。

3. 「目標」の欄の[最大化]をダブルクリックし、[なし]に変更します。

目標を[なし]に設定するのは、同論文において減衰率の目標について特に言及されていないからです。[ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Design Experiment」フォルダにある「Donev Mixture Factors.jmp」を開きます。

4. 「カスタム計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[因子のロード]を選択します。

3つの配合成分とカテゴリカルな環境因子がロードされます。3つの配合因子に対する上下限もロードされます。

図5.52 「応答」アウトラインと「因子」アウトライン 

Image shown here

5. 「モデル」アウトラインで[交互作用]>[2次]をクリックします。

非配合因子の主効果のうち、すべての配合因子と交互作用があるものは削除されるという警告が表示されます。つまり、「波長」の主効果は削除されますが、配合因子と「波長」の2次交互作用はすべて追加されます。

6. [OK]をクリックして、メッセージを閉じます。

ここで指定された「モデル」アウトラインのモデルは、波長の効果も加味した配合成分の応答曲面モデルになっています。Scheffé(1958)を参照してください。

図5.53 「モデル」アウトラインと「計画の生成」アウトライン 

Image shown here

7. 「実験の回数」の[デフォルト値]を「18」のままにします。

18回にすると、「波長」因子の各水準に関して6回ずつ実験が割り振られます。

注: 乱数シード値(ステップ8)と開始点の数(ステップ9)を設定すると、以下の数値例と同じ結果が得られます。同じ実験設定でなくても良い場合は、これらの手順は不要です。

8. (オプション)「カスタム計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[乱数シード値の設定]を選択します。次に、「12345」と入力して[OK]をクリックします。

9. (オプション)「カスタム計画」の赤い三角ボタンのメニューから[開始点の数]を選択し、「5」と入力して[OK]をクリックします。

10. [計画の作成]をクリックします。

図5.54 18回の実験を示した「計画」アウトライン 

Image shown here

「波長」の各水準に対し、実験が6回ずつあることを確認してください。

計画の評価

1. 「計画の評価」>「予測分散プロファイル」アウトラインを開きます。

図5.55 実験数を18とした計画の予測分散プロット 

Image shown here

「波長」のスライダを動かして、配合因子の予測分散プロファイルが「波長」の水準によって変化しないことを確認してください。次に、いずれかの配合因子のスライダを動かしてみましょう。配合成分の合計が1になるように、他の2つの配合因子のスライダの位置が変化します。配合因子の中央の設定の近くで、相対的な予測分散が最も小さくなっています。

2. 「予測分散プロファイル」の赤い三角ボタンをクリックし、[予測分散の最大化]を選択します。

計画領域全体における予測分散の最大値は、誤差分散の0.8倍であることに注目してください。

3. 「計画領域率プロット」アウトラインを開きます。

図5.56 実験数を18とした計画の計画領域率プロット 

Image shown here

計画領域全体において、相対的な予測分散は0.8以下、最小値は0.32です。図5.55に示すように、配合因子の中央の設定近くにおいて、この最小値になっています。

4. 「計画の診断統計量」アウトラインを開きます。

図5.57 実験数を18とした計画の「計画の診断統計量」アウトライン 

Image shown here

この計画は、D-効率は非常に低い(3.6%)ものの、D-最適化基準を基準に最適化されています。配合計画は、配合の制約のせいで直交からはほど遠く、一般にD-効率が低くなります。予測値の平均(相対)分散は0.412864です。この値は、図5.56の「計画領域率プロット」の結果からも大まかに類推できます。

より詳細な情報が必要な場合や、質問があるときは、JMPユーザーコミュニティで答えを見つけましょう (community.jmp.com).