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公開日: 11/25/2021

傾きが等しい共分散分析の例

共分散分析モデルは、連続尺度の説明変数を共変量として持つ分散分析モデルです。「Drug.jmp」サンプルデータでは、列「x」が共変量です。

前節の一元配置分散分析モデルに、x3iという共変量の項を追加すると、共分散分析モデルとなります。次のようなモデル式になります。

Equation shown here

この例において、モデル効果は2つあります。1つは名義尺度の主効果で、もう1つは連続尺度の共変量です。名義尺度の主効果に対しては、2個のパラメータがあります。共変量に対しては、1個のパラメータがあります。

1. [ヘルプ]>[サンプルデータライブラリ]を選択し、「Drug.jmp」を開きます。

2. [分析]>[モデルのあてはめ]を選択します。

3. 「y」を選択し、[Y]をクリックします。

4. 「薬剤」「x」の両方を選択し、[追加]をクリックします。

5. [実行]をクリックします。

レポートの先頭にある「回帰プロット」を見ると、回帰直線が平行になっています(図4.4)。これは、モデルとして、傾きが等しいモデルをあてはめたからです。一元配置分散分析モデル(「薬剤」効果のみだけのモデル)と比較すると、R2乗が22.8%から67.6%に増加しています。誤差の標準偏差(RMSE)は6.07から4.0に減少しています(図4.4)。また、モデル全体に対するF検定のp値は、0.03から0.0001未満に減少しています。

図4.4 薬剤データの共分散分析 

Analysis of Covariance for Drug Data

このデータは、反復している行があります。たとえば、行1と行9を見てください。両方とも、「薬剤」 = a で「x」= 11になっています。このような反復している行がある場合、それらの行の情報を用いて、純粋誤差(pure erorr)を求めることができます。そして、純粋誤差から、あてはまりの悪さ(LOF; Lack of Fit)の検定を実行できます。LOF検定が有意な場合、モデルがデータを十分に説明していないことを示唆しています。その場合、共変量の効果が直線的ではなく非線形であったり、交互作用の効果が存在していたりするなどの原因が考えられます。

LOF検定の結果は、「あてはまりの悪さ(LOF)」レポートに表示されます。「p値(Prob>F)」の値が0.7507であることから、LOF検定は有意にはなっていません。

この例において、共変量xは、応答の変動の多くを説明します。そのため、共変量を追加すると、誤差平方和が大幅に減少します。一方で、「薬剤」は有意でなくなります。「薬剤」だけのモデルで説明された応答の変動の多くは、共変量によって説明されるようです。

共分散分析での各群の最小2乗平均は、群ごとの単純な標本平均とは異なります。共変量xによって調整されるためです。共分散分析での各群の最小2乗平均は、共変量xをある中立な値に固定したときの、各群における予測値です。連続尺度の説明変数の中立な値としては、その平均(ここでは10.7333)が使われます。

最小2乗平均は、[パラメータ推定値]レポートで提示されたパラメータ推定値を使って、次のように計算されます。

予測式:

-2.696 - 1.185*薬剤[a] - 1.0761*薬剤[d] + 0.98718*x

a:

-2.696 - 1.185*(1) -1.0761*(0) + 0.98718*(10.7333) = 6.71

d:

-2.696 - 1.185*(0) -1.0761*(1) + 0.98718*(10.7333) = 6.82

f:

-2.696 - 1.185*(-1) -1.0761*(-1) + 0.98718*(10.7333) = 10.16

図4.5は、各効果のてこ比プロットです。共変量が影響をもっているので、「薬剤」のてこ比において、「薬剤」の各グループの最小2乗平均から多少離れて点が散らばっています。

図4.5 薬剤実験データのてこ比プロット 

Comparison of Leverage Plots for Drug Test Data

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