公開日: 11/25/2021

計画の種類

「計画のリスト」に表示される計画の種類には、次のものがあります。

2水準の完全実施要因計画

2水準の一部実施要因計画

Plackett-Burman計画

混合水準計画

Cotter計画

2水準の完全実施要因計画

完全実施要因計画には因子水準のすべての組み合わせが含まれます。標本サイズはすべての因子の水準数の積に等しくなります。因子の個数をkとしたとき、2水準の完全実施要因計画の実験回数は2kになります。

完全実施要因計画では、すべての効果は互いに直交しています。そのため、各因子間の相関はすべてゼロです。そのため、モデルから1つの因子を取り除いたとしても、パラメータ推定値は元のパラメータ推定値と同じままです。ただし、誤差分散の推定値と自由度が変化するため、統計的検定のp値はわずかに変化します。

完全実施要因計画では、交互作用項の次数を因子と同数にまで増やすことができます。ただし、実際の統計分析においては、因子と応答の真の関係を表す関数を1次式または2次式で近似するのが一般的です。この観点からすると、完全実施要因計画は実験回数を効率良く使用しているとは言えません。

2水準の一部実施要因計画

2水準の一部実施要因計画においても、その実験回数は2のべき乗です。2水準の一部実施要因計画の実験回数は、因子の数をkとしたとき、2k – pです(p < k)。2k – pの一部実施要因計画は、因子の数がkの完全実施要因計画に対し、実験回数の比率が2-pとなります。一部実施要因計画も完全実施要因計画と同様に直交計画です。

因子がk個の完全実施要因計画は、k次までの交互作用効果をすべて推定できます。しかし、実験には通常高い費用がかかるため、規模の小さな計画のほうが理想的です。一部実施要因計画では、高次の効果の一部は他の効果と完全交絡し、効果を互いに区別することができません。完全交絡している効果の線形結合は推定可能ですが、変動がどの効果によるものかを特定することはできません。

一部実施要因計画は、どの交互作用効果を他の交互作用効果と完全交絡させるかをあらかじめ決めてから設計します。通常、3つ以上の因子の交互作用は対象としません。3次以上の交互作用の効果は、無視できると見なされます。

Plackett-Burman計画

Plackett-Burman計画も、一部実施要因計画と同じように、因子のスクリーニングを目的とした実験計画です。この計画は、実験回数が2のべき乗ではなく4の倍数となるのが特徴です。一部実施要因計画の実験回数は16から32に飛んでしまいますが、Plackett-Burman計画なら実験数を20、24、28に設定することができます。

Plackett-Burman計画では、主効果は直交し、2因子間交互作用も主効果と部分交絡するだけです。これとは対照的に、レゾリューションが3の一部実施要因計画では、主効果と完全交絡する2因間子交互作用が存在します。Plackett-Burman計画は、多数の因子がある場合に、交互作用は無視できるという条件のもとで、大きな主効果を見つけるのに役立ちます。

混合水準計画

3水準以上のカテゴリカル因子または離散数値因子を伴う計画では、多くの場合、標準的な計画が存在しません。そのような場合、「スクリーニング計画」プラットフォームでは、主効果スクリーニング計画(main effects screening design)が作成されます。この主効果スクリーニング計画は、主効果に対する直交計画または殆直交計画となります。

標準的な混合水準計画が存在する場合は、それらの計画が「計画のリスト」に表示されます。「計画のリスト」には、3水準の因子のみの要因計画(最大13因子)に対しては、一部実施要因計画が表示されます。2水準と3水準の因子が混在する場合は、完全実施要因計画と、表9.1のような直交配列計画が表示されます。

標準的な混合水準計画は次の表に記載されている因子の個数に対応しています。もし,この表に記載されている因子の個数よりも実験で用いる因子の個数が少ない場合には、列(因子)の一部分だけを使って計画を作成してください。

表9.1 混合水準計画の表

因子数

計画

2水準

3水準

L18 JohnおよびL18 Taguchi

1

7

L18 Chakravarty

3

6

L18 Hunter

8

4

L36 Taguchi

11

12

Cotter計画

メモ: Cotter計画は、デフォルトでは「計画のリスト」に含まれていません。Cotter計画を含めるには、「スクリーニング計画」の赤い三角ボタンをクリックし、[Cotter計画を抑制]の選択を解除します。Cotter計画がデフォルトで表示されるようにするには、[ファイル]>[環境設定]>[プラットフォーム]>[実験計画(DOE)]を選択し、[Cotter計画を抑制]の選択を解除します。

Cotter計画は、多数の因子があり、その一部に交互作用があるかもしれず、さらに、実験回数が非常に少なく制限されているような場合に便利です。Cotter計画は、効果の希薄性(effect sparsity)の原則に基づいています。この計画では、複数の効果の和に効果が見られるなら、そこに有効な効果が含まれているだろうと仮定します。この計画の欠点は、符号が異なる効果を足し合わせた場合、その合計が0またはほぼ0になることがあり、影響力のある効果を見落としてしまう可能性があるという点です。そのような偽陰性を示す危険性があるため、多くの統計学者はこの実験の使用を薦めていません。

因子がk個ある場合、Cotter計画の実験数は2k + 2回となります。この計画の構造は、「一度に1つの因子を変更する」手法に似ています。

Cotter計画の作成方法は次のとおりです。

すべての因子を高水準に設定した実験を定義する。

次に、順番に1つの因子だけを低水準に設定する実験を、k回行う。

次の実験では、すべての因子を低水準に設定する。

次に、順番に1つの因子だけを高水準に設定する実験を、k回行う。

実験の順序をランダムにする。

Cotter計画を作成すると、計画データテーブルには説明変数として使われる一連の列も追加されます。これらの列名は、「<因子名> 奇数」および「<因子名> 偶数」となります。これらの列には、その因子を含む奇数次数の交互作用の合計と、偶数次数の交互作用の合計がそれぞれ挿入されます。

たとえば3つの因子A、B、Cがあるとしましょう。この場合、説明変数の列の値は表9.2のように計算されます。

表9.2 Cotter計画のデータテーブル

奇数または偶数の次数ごとに合計した効果(説明変数の列)

A奇数 = A + ABC

A偶数 = AB + AC

B奇数 = B + ABC

B偶数 = AB + BC

C奇数 = C + ABC

C偶数 = BC + AC

これらの奇数の列や偶数の列は、ある種の直交変換になっています。このため、これらの奇数の列や偶数の列に対するパラメータ推定値を検定することは、それらの元の列の線形結合を検定することと同じです。

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