公開日: 11/25/2021

モデル化の設定

「モデル化の設定」レポートでは、個々の時系列にモデルをあてはめることができます。さまざまなモデルが考慮されます。Hyndman et al.(2008)は、次に示すような誤差・トレンド要素・季節要素に基き、状態空間平滑化モデルを定義しています。

誤差:加法的(A)・乗法的(M)

トレンド要素:なし(N)・加法的(A)・加法的ダンプ(Ad)・乗法的(M)・乗法的(ダンプ)(Md

季節要素:なし(N)・加法的(A)・乗法的(M)

特定のモデルは、上記のETS(Error, Trend, Seasonal; 誤差・トレンド・季節)によって表されます。「時系列予測」プラットフォームでは、上記の要素を組み合わせたモデルがあてはめられます。

「モデル化の設定」レポートには2つのタブがあります。[推奨される設定]タブでは、あてはめたい状態空間平滑化モデルの大まかな設定を行います。[詳細な設定]タブでは、あてはめたい状態空間平滑化モデルの細かい設定を行います。その後、個々のそれぞれの時系列について、与えられた複数の候補の中から最良のモデルが選択され、その選択されたモデルが予測に使われます。

モデルの選択

[詳細な設定] タブに示されているように、[詳細な設定]タブでのみ使用できます。「モデルの選択」レポートでは、あてはめる状態空間平滑化モデルを指定します。チェックボックスで、モデルの誤差・トレンド・季節性の構造を選択します。プラットフォームによって推奨されるモデルに対応するチェックボックスを選択するには、[推奨されるモデルを選択]をクリックします。また、すべてのチェックボックスを選択するには[すべて選択]を、すべてのチェックボックスの選択を解除するには[すべて選択解除]をクリックします。[パラメータの制約]チェックボックスをオンにすると、オブザベーションが現在から離れるほど、モデルの現在の状態における効果が小さくなるように、パラメータを制約します。状態空間平滑化モデルでは、時間tにおける予測は、時間tまでのすべてのオブザベーションの重み付き合計と同じです。重みは、パラメータの関数です。そのため、パラメータを制約することによって、過去のオブザベーションに対する重みがゼロになり、オブザベーションが現在から離れるほど、重みがよりゼロに近づきます。

図19.6 [詳細な設定] タブ 

Complete Specifications Tab

予測に関する設定

以下のオプションの設定を指定できます。

NAhead

何期先までを予測するかを指定します。負の数を指定することはできません。

周期

モデルをあてはめる際に考慮する季節性の周期を指定します。デフォルトでは、「時間パターンの解析」レポートに基づいて、季節性の周期が自動的に選ばれます。異なる周期も考慮したい場合は、ここで追加の周期をカンマで区切りで指定します。周期はゼロより大きくなければなりません。

モデル選択手法

最良モデルの選択方法を指定できます。

情報量規準

指定された情報量規準に基づいて最良モデルを判断します。使用できる情報量規準はAICとBICです。

ヒント: 時系列が長い場合は[BIC]を使用してください。

予測性能

保留データを使用する性能選択アルゴリズムに基づいて最良モデルを判断します。まず、時系列が学習セットと保留セットに分割されます。「NHoldback」の値は、保留するセット内のオブザベーション数です。その後、アルゴリズムによって、推奨されるモデルまたはユーザによって指定されたモデルのすべてが学習セット内のデータにあてはめられます。あてはめられた個々のモデルを使って、保留セットに対する予測が行われます。これらの予測が実際に保留されたオブザベーションと比較され、指定された指標を使ってモデルが評価されます。そして、指標の値が最も良いモデルが最終モデルとして選択されます。最後に、選択された最終モデルが時系列全体(学習セットと保留セット)にあてはめられ、そのモデルが時系列の最後の観測値以降の値を予測するのに使用されます。

評価指標

個々のモデルのあてはめによる予測を評価するための指標を指定します。使用できる指標は、誤差の標準偏差(RMSE)、誤差の平均平方(MSE)、および平均絶対誤差(MAE)です。

NHoldback

保留セットで使用されるオブザベーション数を指定します。

その他のオプション

以下のオプションを指定できます。

モデル選択規準を結果に出力

選択されたモデルのモデル選択規準を表示します。この情報は「全系列に対する全モデルの情報量規準」レポートに表示されます。

予測区間の信頼水準

将来予測における予測区間の信頼水準。この設定により、予測プロットでの陰影領域の幅が変わります。

欠測部分の補間

モデルをあてはめる際の補完法を指定します。

メモ: これらのオプションは、モデル推定に使われる内部的なデータだけを変更します。生データは変更されません。

なし

欠測値は補完されません。

最後の値

一連の欠測値の前にある最後の値を使って欠測値を補完します。

中間の値

一連の欠測値の前にある最後の値と、一連の欠測値の後にある最初の値を、平均することによって欠測値を補完します。

線形補間

一連の欠測値の前にある最後の値と、一連の欠測値の後にある最初の値の間で、線形補間することによって欠測値を補完します。

[実行]をクリックすると、指定した複数のモデルがあてはめられます。アクティブなスレッドの数、完了したタスクと合計タスクの数、および完了したタスクの割合を知らせる進行状況バーが表示されます。ここでの1つのタスクは、1つの時系列に対して指定したすべてのモデルをあてはめる過程として定義されています。すべての計算が完了すると、「モデルのレポート」が表示されます。モデルのレポートを参照してください。「モデル化の設定」レポートでオプションに変更を加え、もう一度[実行]をクリックすると、「モデルのレポート」の内容が更新されます。

より詳細な情報が必要な場合や、質問があるときは、JMPユーザーコミュニティで答えを見つけましょう (community.jmp.com).