「選択モデル」の赤い三角ボタンのメニューには、以下のオプションがあります。
メモ: 階層型Bayesを使用する場合は、無作為抽出のため、実行するごとに結果が異なります。
尤度比検定
尤度比検定を参照してください。
最尤推定値の表示
(階層型Bayesで使用できます)モデル項の係数を、通常の最尤法で推定した結果(パラメータ推定値と標準誤差)。これらの値は、階層型Bayesアルゴリズムの開始値として使用されます。
複合因子検定
(階層型Bayesでは使用できません)モデル内の各因子を検定する目的で、その因子が関連しているすべての効果の尤度比検定を行います。複合因子検定の詳細については、『基本的な回帰モデル』の「複合因子検定」を参照してください。
信頼区間
(階層型Bayesでは使用できません)「パラメータ推定値」レポートで各パラメータの信頼区間の表示と非表示を切り替えます。
信頼限界
(階層型Bayesで使用できます)「Bayesパラメータ推定値」レポートで各パラメータの信頼限界の表示と非表示を切り替えます。この信頼限界は、事後分布の2.5%と97.5%の各分位点に基づいて計算されます。
推定値の相関
[階層型Bayes]が選択されていないときには、最尤法に基づいて、パラメータ推定値間の相関行列を表示します。
階層型Bayesの場合は、係数値の事後平均における相関行列を表示します。この相関行列は、バーンイン後の反復から求めたものです。バーンイン後、反復ごとに全被験者における事後平均が計算されます。これらの事後平均から求めた相関行列が、「推定値の相関」表に表示されます。
全水準の推定値
モデルに含まれている各効果の周辺確率と限界効用の表示と非表示を切り替えます。周辺確率とは、他の属性をすべて平均またはデフォルトの水準に固定したときに、人が属性因子Bではなく属性因子Aを選択する確率を指します。
Figure 4.18において、(生地とトッピングは同じという条件で)被験者がモンテレージャックのピザではなく、モッツァレラのピザを選ぶ確率は、0.9470です。
図4.18 「全水準の推定値」の例
効用プロファイル
異なる因子設定における効用の予測値の表示と非表示を切り替えます。効用とは、モデルにおいて線形式で表されている部分の値です。最適なプロファイルを見つけるに効用プロファイルの例があります。効用関数の詳細については、効用と確率を参照してください。[効用プロファイル]のオプションについては、『プロファイル機能』の「「予測プロファイル」のオプション」を参照してください。
確率プロファイル
2つの製品が提示されたときに一方の製品を選択する確率を求めることができます。この確率は、次式で計算されます。

Uは該当する製品の効用、Ubは基準となる製品の効用です。なお、この式に基づくと、2つの製品がまったく同じ場合、各製品が選択される確率は50%ずつです。効用と確率を参照してください。
確率プロファイルを使用する例は、基準との比較で紹介しています。[確率プロファイル]のオプションについては、『プロファイル機能』の「「予測プロファイル」のオプション」を参照してください。
多選択プロファイル
指定した数の確率プロファイルが表示されます。複数の製品が提示されたときに、各製品が選択される確率が求められます。各製品のプロファイルは自由に設定できます。多選択プロファイルを使用する例は、多選択プロファイルの比較で紹介しています。[多選択プロファイル]のオプションについては、『プロファイル機能』の「「予測プロファイル」のオプション」を参照してください。
比較
設定された選択肢の比較を行います。比較したい因子と値を選択することができます。なお、[すべて]チェックボックスをチェックした場合、すべての水準が比較されます。被験者効果がある場合は、製品の比較を行いたい、被験者の水準を指定できます。[すべて]チェックボックスを複数の因子でチェックした場合、それらすべての因子の水準での比較ではなく、該当する1因子のすべての水準が、その他の因子を左側で選択されている水準に固定した上で、比較されます。
図4.19 「効用の比較」ウィンドウ
支払意思額
このコマンドは、モデルに連続尺度の価格列がある場合にのみ使用できます。顧客が新しい機能に対して支払っても良いと思う、基準となる機能コストからの最大価格増加(減少)を計算します。結果は、「基準」に指定された値を基準にして、背景因子の水準ごとに計算されます。
効用計算式の保存
複数のデータテーブルに対して分析を実行している場合は、効用の計算式列を含んだ、新しいデータテーブルを作成します。作成されたデータテーブルでは、各行がプロファイルと被験者の組み合わせに対応しており、プロファイルと被験者を示す列があります。1つのデータテーブルに対して分析を実行している場合は、「効用計算式」列がそのデータテーブルに追加されます。
被験者ごとの勾配を保存
(階層型Bayesでは使用できません。)各パラメータの変化量を被験者ごとに含んだデータテーブルを作成します。パラメータの変化量は、ヘッセ行列で尺度化した各パラメータの傾きを、被験者ごとに平均して求められています。これは、該当する被験者と他の被験者との差異に対するラグランジュ乗数検定に対応します。作成されたデータテーブルを、付随しているスクリプトでクラスター分析すれば、マーケットセグメント(同じ選好構造をもつ消費者集団)を特定することができます。勾配を参照してください。例として、セグメント化の例を参照してください。
被験者推定値の保存
(階層型Bayesで使用できます。)各効果における被験者ごとのパラメータ推定値を含んだデータテーブルを新たに作成します。この値は、この被験者ごとに係数値を平均したものであり、「Bayesパラメータ推定値」レポートにある「事後 平均」です。「被験者 受容率」は、Metropolis-Hastings法のステップにおいて、現在のステップとは異なる係数値に移動した割合(受容率)を示します。一般に、0.20ぐらいが良好な受容率とみなされています。詳細については、Bayesパラメータ推定値を参照してください。
Bayesチェーンの保存
(階層型Bayesで使用できます。)Bayes推定において使用されたチェーンの情報を含んだデータテーブルを、新たに作成します。詳細については、Bayesチェーンの保存を参照してください。
モデルダイアログ
「選択モデル」起動ウィンドウが開き、モデルを修正したり、別のモデルをあてはめたりすることができます。データテーブルやID、モデル効果を新しく指定できます。たとえば、現在のモデルから設定を少し変更して、別のモデルをあてはめることができます。
以下のオプションの詳細については、『JMPの使用法』の「JMPレポートのローカルデータフィルタ」、「JMPレポートの[やり直し]メニュー」、および「JMPレポートの[スクリプトの保存]メニュー」を参照してください。
ローカルデータフィルタ
データをフィルタリングするためのローカルデータフィルタの表示/非表示を切り替えます。
やり直し
分析を繰り返したり、やり直したりするオプションを含みます。また、[自動再計算]オプションに対応しているプラットフォームにおいては、[自動再計算]オプションを選択すると、データテーブルに加えた変更が、該当するレポートに即座に反映されるようになります。
プラットフォーム環境設定
現在のプラットフォームの環境設定を表示したり、現在のJMPレポートの設定に合わせて環境設定を変更したりできます。
スクリプトの保存
レポートを再現するためのスクリプトを保存するオプションが、保存先ごとに用意されています。
Byグループのスクリプトを保存
By変数の全水準に対するレポートを再現するスクリプトを保存するオプションが、保存先ごとに用意されています。起動ウィンドウでBy変数を指定した場合のみ使用可能です。
メモ: このプラットフォームには、他にもスクリプトだけで使用できるオプションがあります。[ヘルプ]メニューの[スクリプトの索引]を開いてください。また、[スクリプトの索引]には、この節で紹介されているオプションのスクリプト例もあります。
支払意思額
支払意思額は、選択モデルの分析に使用される指標です。「支払意思額」(willingness to pay)とは、製品の新しい機能に対して顧客が支払うであろう価格を指します。「支払意思額」は、基準機能の効用と等しくなる、新機能の価格です。たとえば、40 GBのハードディスクを搭載したパソコンが、1000ドルだったとします。80 GBのハードディスクに対する支払意思額は、ハードディスクを80 GBにした場合、1000ドルである40 GBのパソコンと同じ効用をもたらすのに、どれぐらいの価格にできるかを示します。
「支払意思額」ウィンドウでは、以下のオプションを指定できます。
因子
分析に含まれる変数。製品の機能や被験者の属性などです。
基準
各因子の基準設定。カテゴリカルな因子に対しては、リストから基準値を選択してください。連続尺度の因子に対しては、基準値を入力してください。
役割
因子の種類。
機能因子
支払意思額を求めたい製品やサービスの機能。
価格因子
選択実験で提示された価格の因子。価格因子は連続尺度でなければならず、1回の「支払意思額」分析において1つの価格因子しか指定できません。
背景因子 定数
「支払意思額」の計算で固定にする因子。通常は、被験者に関する因子を指定します。
背景因子 変数
「支払意思額」の計算で水準ごとに固定する因子。通常は、被験者に関する因子を指定します。被験者に関する因子を[背景因子 定数]ではなく[背景因子 変数]に指定すると、その因子の全水準に対して支払意思額が計算されます。
レポートの表に、基準となる設定も含める
「支払意思額」レポートに、価格変更を加える前の基準設定が表示されます。
ヒント: このチェックボックスをオンにしてデータテーブルに出力した場合、そのデータテーブルには基準となる設定も出力されます。
データテーブルにも出力
「支払意思額」レポートを含んだデータテーブルが作成されます。
図4.20 「支払意思額」の指定
1回目の「支払意思額」の計算が完了すると、選択した基準値と役割が記憶されます。つまり、基準情報を一度入力するだけで、「支払意思額」の比較を何度も行うことができます。「価格」という名前の因子はないが、分析に使われている連続尺度の因子が1つしかない場合は、「支払意思額」ウィンドウにて、その因子に自動的に「価格因子」の役割が割り当てられます。実際の金銭的な価格以外にも、旅行時間や距離などの金銭的ではないコストも価格因子と考えられます。
「支払意思額」レポートには、各因子の基準値と、基準における効用が表示されます。そして、各因子について、機能設定、価格変更(価格がどれだけ変化するか)、新価格がリストされます。交互作用や2次の効果がない場合は、標準誤差と信頼区間も表示されます。標準誤差や信頼区間は、デルタ法で求められます。
図4.21 「支払意思額」レポート
Bayesチェーンの保存(階層型Bayesを使ったモデルのあてはめで使用できます。)Bayesチェーンのデータテーブルを使うと、MCMCアルゴリズムで生成される係数値の安定性を調べることができます。作成されるデータテーブルには、(起動ウィンドウで指定した)「Bayes計算の反復回数」に1を足した数の行が含まれます。最初の行(反復1)は、開始値を示します。2行目以降には、生成された乱数が反復の順に保存されます。このテーブルには、以下に示すように、反復のカウント、モデルの対数尤度、および各モデル効果に対応する列があります。
反復
反復の番号。最初の行は、開始値です。
対数尤度
その反復におけるモデルの対数尤度。各反復に対する対数尤度をプロットすれば、バーンイン期間(調整段階)での振る舞いを確認できます。
<モデル効果> 適応型シグマ
逆Wishart分布の尺度行列における対角要素の平方根。
<モデル効果> 受容率
MCMCアルゴリズムでの受容率。
<モデル効果> 平均
被験者ごとに生成された係数値、の平均。
<モデル効果> 分散
被験者ごとに生成された係数値、の分散。