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公開日: 09/09/2026

複数の潜在成長曲線モデルを比較する例

潜在成長曲線モデルを使えば、一定期間にわたる過程について柔軟に調べることができます。「モデルのショートカット」メニューから、切片のみ、1次、2次などの成長曲線を指定して、これらを比較できます。[潜在基底成長曲線]オプションを使って、非線形の軌道を指定することもできます。また、[複数の成長モデルを比較]オプションを使えば、複数の成長曲線モデルを同時に指定してあてはめ、比較することができます。この例では、4年におよぶ教育プログラムにおける生徒の成績をモデル化します。複数の成長曲線を比較して、どの曲線がこの教育プログラムの過程を最もよく表しているかを調べます。

1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Academic Achievement.jmp」を開きます。

2. [分析]>[多変量]>[構造方程式モデル]を選択します。

3. 「複数選択 1年目」から「複数選択 4年目」まで選択し、[モデルの変数]をクリックします。

4. [OK]をクリックします。

5. 「モデルのショートカット」から、[経時的データ分析]>[複数の成長モデルを比較]を選択します。

「モデルの指定」の図に、2次の潜在成長曲線モデルが表示されます。

「構造方程式モデル」レポートは、2つの部分から構成されています。1つ目は、「モデルの指定」、「モデルの比較」、「カイ2乗検定」レポートです。「モデルの比較」と「カイ2乗検定」レポートで、あてはめたすべての成長モデルを比較できます。「カイ2乗検定」レポートでは、複雑なモデルを単純なモデル(複雑なモデルと入れ子関係になっているモデル)と比べて、データへのあてはめが顕著によくなっているかどうかを判断できます。

2つ目は、各モデルに対する「構造方程式モデル」レポートで、それぞれ、「あてはめの要約」レポート、「パラメータ推定値」レポート、「パス図」が表示されます。各レポートで、それぞれのモデルのあてはまりの良さを評価できます。

図8.13 「モデルの比較」と「カイ2乗検定」レポート 

Model Comparison and Chi-Square Difference Test Reports

Figure 8.13の「モデルの比較」レポートには、5つのモデル(飽和(無制約)、独立、切片のみの成長モデル、1次成長モデル、2次成長モデル)の適合度指標が表示されます。全体的に見て、1次成長モデルが他のモデルよりもあてはまりがよくなっています。これは、AICc重みが0.824と最大であることに加えて、適合度指標が非常に良いこと(CFI = 0.997、RMSEA = 0.067)から判断できます。2次成長モデルの適合度指標も大変良いですが(CFI = 1、RMSEA = 0)、AICc重みでは劣っています。一方、独立モデルと切片のみの成長モデルは、カイ2乗が非常に大きいことと、適合度指標が不十分であることから、あてはまりがよくないことが示唆されています。

メモ: 成長モデルを比較する際は、適切な独立モデルを選択することが大事です。独立モデルとしては通常、切片のみの成長モデルを使用することが推奨されます。なぜなら、このモデルは、他の成長曲線のあてはめを評価するのに有意義な基準となるからです。それ以外の曲線を独立モデルとして選択することもできます。そのためには、「モデルの比較」レポートで行を選択し、右クリックして、[独立モデルとして設定]を選択します。デフォルトの独立モデルに戻すには、選択したモデルを右クリックして、[デフォルトの独立モデルをリセット]オプションを選択します。

Figure 8.13の「カイ2乗検定」レポートでも、それぞれのモデルのあてはまりを比較できます。入れ子関係になっているモデル間で、カイ2乗統計量、CFI、RMSEAの変化を比べます。全体的に見て、切片のみの成長モデルは、1次成長モデルおよび2次成長モデルに比べて、あてはまりがかなり悪いと結論付けられます。1次成長モデルと2次成長モデルでは、あてはまりに大きな差はありません。つまり、2乗項を加えることで、1次成長モデルよりもあてはまりが大幅によくなるわけではないことを示しています。2次成長モデルのあてはまりは非常に良いですが、1次成長モデルに比べてあてはまりがわずかによくなるだけなら、敢えて複雑にする必要はありません。したがって、複雑さを回避しながら良いあてはまりが得られるという意味で、1次成長モデルが最適な選択肢だといえそうです。

次に、「モデルの比較」レポートと「カイ2乗検定」レポートを併せて検討してみましょう。1次成長モデルは、AICc重みが0.824と最も大きく、適合度指標も大変良いため(CFI = 0.997、RMSEA = 0.067)、最も適切なモデルであるとみなせます。また、入れ子関係のモデル間の比較によると、2次成長モデルでは結果が若干向上しますが、1次成長モデルと比較したときのあてはまりの差は、統計的に有意であるとはいえません。そのため、1次成長モデルの方が、単純さとモデルのあてはまりの両面で優れているといえます。入れ子関係のモデル間の比較によると、1次成長モデルは切片のみの成長モデルに比べ、あてはまりがはるかに良いということが強く示されています。

各モデルに対して生成されたレポートを使って、適合度指標をチェックしたり、モデルを比較したりすることもできます。1次成長モデルは、指定が適切で、あてはまりが良いようです。少ない反復回数で収束していることと、適合度指標が十分に良いことから、あてはまりが非常に良いことが示唆されています。2次成長モデルは、一部の適合度指標によるとあてはまりが良いことが伺えますが、一方で、分散の推定値に負が含まれる、共分散行列が正定値でない、という重大な問題があります。切片と1次の傾きはゼロと大きく異なっており、最初の水準が大きく、時間とともに1次成長の傾向があることを示しています。一方、2乗項の係数は小さく、2乗項は不要であることが示唆されています。

「構造方程式モデル」レポート全体から、1次成長モデルの指定が適切であり、あてはまりが良いということが示されています。1次成長モデルにより、ベースラインでの母集団全体の平均、時間とともに1次成長している平均的な傾向、そして、学生ごとに切片と傾きがばらついていることが表現できています。

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