安定性分析「モデルのあてはめ」プラットフォームの[混合モデル]手法において、時間変数を固定効果に、ブロック変数を変量効果に指定し、それらの交互作用効果も変量効果に指定した場合は、[安定性分析]オプションを使用できます。時間変数は、連続変数である必要があります。[安定性分析]オプションでは、混合モデルに基づいて有効期間を推定する方法がいくつか用意されています。有効期間(shelf life)とは、製品(通常は薬剤)がまだ安全かつ有効である一定期間を指します。この有効期間は、予め定めておいた仕様限界(受け入れ基準; acceptance criterion)を測定可能な特性が満たさなくなった時点を求めることで推定できます。製品の有効期間を推定するには、複数のバッチを含む試験データを分析し、各バッチが受け入れ基準を満たさなくなった時点を調べます。有効期間は、それらのバッチの平均分布に基づいて決まります。混合モデルに基づく有効期間の推定は、固定効果モデルに基づく有効期間の推定に比べ、推定の枠組みが改善されています。
ヒント: 安定性分析において、複数の受け入れ基準を設けるには、複数の応答変数を指定して、[安定性分析]オプションの選択時にブロードキャスト機能を使用します。それにより、「有効期間の予測」ウィンドウで指定したオプションが、各応答変数に使用されます。複数の応答変数に対して安定性分析を行いたい場合は、「仕様限界」列プロパティにおいて仕様限界を予め指定しておいたほうがよいです。
[安定性分析]オプションを選択すると、「有効期間の予測」ウィンドウが開き、予測の手法、分位点、信頼水準、片側/両側、仕様限界を指定できます。
予測の手法
有効期間の推定に用いる方法を指定します。どの方法も、線形混合モデルにおいて、バッチを変量効果(ブロック変数)として扱います。次の推定法を使用できます。
分位点の曲線
線形混合モデルを使って、バッチの1 - 分位点が受け入れ基準内であるような区間を点推定で求めます。推定される有効期間は、この分位点の点推定値(下限または上限の点推定値)に基づきます。
分位点に対する信頼区間
線形混合モデルを使って、バッチの1 - 分位点が受け入れ基準内であるような区間を区間推定で求めます。そして、推定した分位点区間に対して、1 - a信頼区間を求めて、それを有効期間とします。つまり、推定される有効期間は、この分位点に対する信頼区間に基づきます。
許容区間
線形混合モデルを使って、バッチの1 - 分位点が受け入れ範囲内であるような許容区間を求めます。推定される有効期間は、その許容区間の下限および上限に基づきます。この方法は、Schwenke et al.(2020)によって提案されている方法です。
分位点
有効期間の推定値を得るための分位点の累積確率を指定します。これにより、推定される有効期間内では、「バッチの1 - 分位点が受け入れ基準を満たしている」と推定されます。
信頼水準
分位点に対する信頼区間および許容区間のa水準を指定します。
片側/両側
片側または両側の区間を指定します。仕様限界に下側と上側の両方を定義した場合は、デフォルトで両側になります。
上限
仕様限界を指定します。この仕様限界が、受け入れ基準となります。「仕様限界」列プロパティが定義されている場合、その値がデフォルトで使用されます。
[OK]をクリックすると、レポートウィンドウに「有効期間の予測」レポートが追加されます。このレポートには、プロットと表が含まれます。
図8.12 「有効期間の予測」レポート
プロットには、バッチの個々の観測データと、平均線、分位点、指定した区間が表示されます。表には、「有効期間の予測」ウィンドウで指定したオプションに基づく情報が表示されます。
目標値
仕様限界(受け入れ基準)として指定した値。
予測値
仕様限界と、指定した予測方法の曲線とが交わっている箇所での時点。この値が、有効期間の推定値になります。
応答平均の予測値
予測された有効期間の時点における周辺平均の予測値。
表の残りの列は、予測の手法と、片側/両側のどちらを指定したかによって異なります。