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公開日: 11/25/2021

「工程のスクリーニング」レポート

「工程のスクリーニング」レポートには、工程の安定性などに関する結果をまとめた要約表が表示されます。要約表の上には、分析に使われた管理図の種類が示されています。I-MR管理図以外の各チャートでは、要約表の上に標本サイズまたはサブグループ変数も表示されます。仕様限界が指定されていた場合は、工程能力指数に関する結果も表示されます。工程やグループは、「安定指数」の降順で並べ替えられています。重要度が指定されていた場合、デフォルトでは、重要度と安定指数によって工程とグループが降順に並べ替えられています。安定指数・Ppk・Cpk・Cp・目標指数の列は、緑色・黄色・赤色に着色されています。緑色は「適切な状態」、黄色は「微妙な状態」、赤色は「悪い状態」を意味しています。ここで使われてる色は、工程性能グラフの色と同じです。

ヒント: 「安定指数」以外の列で並べ替えるには、該当の列名をクリックします。並べ替えに使われた列の隣には、「^」というマークが表示されます。「^」マークは、昇順なら上向き、降順なら下向きとなります。昇順と降順を切り替えるには、もう一度列名をクリックします。

要約表にある管理図の情報には、Western Electricルールに基づくテスト(Nelsonのテスト)と、[範囲の限界外]に関するテストが含まれます。管理図に関するこれらのテストには、次のような中央線や管理限界が使われます。

XBar管理図やX管理図の中心線は、すべての測定値の平均で与えられます。[平均ではなく中央値を使用]オプションを使用する場合、中心線は測定値の中央値で与えられます。

管理限界は、中央線からKシグマ離れた位置に設定されます。Kは、起動ウィンドウの「Kシグマ(k×σ)」オプションで指定します。「Kシグマ(k×σ)」のデフォルト値は3です。

シグマの推定値は、指定した管理図の種類に応じた方法で計算されます。また、[平均ではなく中央値を使用]オプションを選択した場合は、平均ではなく中央値を使用で説明されている方法で計算されます。

ヒント: 「工程のスクリーニング」プラットフォームで行われるWesten Electricルールに基づくテストは、「管理図ビルダー」プラットフォームの環境設定に従います。テストをカスタマイズするには、[ファイル]>[環境設定]>[プラットフォーム]>[管理図ビルダー]を選択してください。

要約表には、以下の情報を表示することができます。

[工程変数]として指定した列。[工程変数]と[グループ変数]の列の一意の組み合わせごとに、1つの行があります。工程変数が1つしかない場合、この列は表示されません。

ヒント: [列]列を右クリックすると、選択されている工程に対しての分析に関するオプションがポップアップされます。

グループ列

[グループ変数]に指定した列ごとに、1つのレポート列があります。グループ変数列の水準がリストされ、工程の名前とグループ変数列の値の一意の組み合わせに対し、1つの行が表示されます。

重要度

(ユーザーが指定した重要度値が限界テーブルからの入力としてあるときにのみ表示されます。)工程に対するユーザー指定の重要度値。

ばらつき

以下の列で構成されます。

安定指数

工程の安定性に関する指標。安定した工程の安定指数は、1に近い値を取ります。大きい値ほど、工程が安定していないことを示唆しています。安定指数は、次のように定義されます。

(全体シグマ/群内シグマ)

起動ウィンドウで三元管理図が選択されている場合、安定指数は次のように定義されます。

(全体シグマ/群間+群内シグマ)

安定比

工程の安定性に関する指標。安定した工程の安定比は、1に近い値を取ります。大きい値ほど、工程が安定していないことを示唆しています。安定比は、次のように定義されます。

(全体シグマ/群内シグマ)2

起動ウィンドウで三元管理図が選択されている場合、安定比は次のように定義されます。

(全体シグマ/群間+群内シグマ)2

群内シグマ

サブグループ内のばらつきから計算された、標準偏差の推定値。この推定値は、短期における工程のばらつきから計算されています。その計算方法は、指定した管理図の種類によって異なります。統計的詳細については、『品質と工程』の「工程能力」プラットフォームの統計的詳細を参照してください。[平均ではなく中央値を使用]オプションを選択した場合、群内シグマは平均ではなく中央値を使用で説明されているように計算されます。

全体シグマ

すべての測定値から通常の方法で算出された、標準偏差の推定値。

群間シグマ

(起動ウィンドウで三元管理図が選択されている場合にのみ表示されます。)サブグループ間の変動に基づく標準偏差の推定値。統計的詳細については、『品質と工程』の「工程能力」プラットフォームの統計的詳細を参照してください。

群間+群内シグマ

(起動ウィンドウで三元管理図が選択されている場合にのみ表示されます。)サブグループ内のばらつきとサブグループ間のばらつきから計算された、標準偏差の推定値。「群間+群内シグマ」は次のように定義されます。

Equation shown here

指定のシグマ

「限界の指定」ダイアログにおける「σ」に指定された標準偏差、または管理限界とサブグループサイズから逆算された標準偏差。逆算されたシグマを参照してください。管理限界とサブグループサイズは、管理限界や仕様限界を含んだデータテーブル、または[管理限界]列プロパティを使用して指定できます。

要約

以下の列で構成されます。

中央線

(起動ウィンドウで[平均ではなく中央値を使用]を選択した場合、管理限界や仕様限界のデータテーブルを使って中央線の値を読み込んだ場合、管理限界から中央線を逆算した場合、に表示されます。)「中央線」の値は、管理図の計算で中央線として使用されます。

起動ウィンドウで[平均ではなく中央値を使用]を選択した場合は、中央値が表示されます。

管理限界や仕様限界のデータテーブルから中央値の値を読み込んだ場合は、その読み込んだ値が表示されます。

管理限界から中央線を逆算した場合、表示される値は(UCL + LCL)/2です。

平均

すべての測定値から計算された平均。

度数

測定値の個数。

サブグループ

サブグループの個数。

管理図の警告

8つのWestern Electricルール(Nelsonのルール)を含むさまざまなテストで警告が生じたサブグループの情報。また、標準偏差の推定値には、「群内シグマ」が使われます。デフォルトの要約表には、「警告率」、「テスト 1」、「最後の警告」の列だけが表示されます。

警告率

[テストの選択]オプションで選択したテストのいずれかで警告が生じたサブグループの個数(「すべての警告」に表示されている個数)を、欠測値でないすべてのサブグループの個数で割ったもの。

すべての警告

(テストの列が複数表示されている場合にのみ表示されます。)[テストの選択]オプションで選択したテストのいずれかで警告が生じたサブグループの個数。カウントの対象になりうるテストには、Westen Electricルールに基づく8つのテストと[範囲の限界外]テストがあります。

ヒント: 「工程のスクリーニング」プラットフォームで行われるWesten Electricルールに基づくテストは、「管理図ビルダー」プラットフォームの環境設定に従います。テストをカスタマイズするには、[ファイル]>[環境設定]>[プラットフォーム]>[管理図ビルダー]を選択します。

テスト 1

1個の点が中央線から±3標準偏差より外にある場合。その1点のサブグループに警告を出します。

テスト 2

9個以上の連続する点が中央線に対して同じ側にある場合。9番目の点のサブグループに対して警告を出します。

テスト 3

6個以上の連続する点が単調増加または単調減少している場合。6番目の点のサブグループに対して警告を出します。

テスト 4

14個の連続する点が増加と減少を交互に繰り返している場合。14番目の点のサブグループに対して警告を出します。

テスト 5

連続する3個の点のうち2個が、中央線に対して同じ側にあり、かつ、中央線から±2標準偏差より外にある場合。区間の外にある2番目の点のサブグループに対して警告を出します。

テスト 6

連続する5個の点のうち4個が、中央線に対して同じ側にあり、かつ、中央線から±1標準偏差より外にある場合。区間の外にある4番目の点のサブグループに対して警告を出します。

テスト 7

連続した15個の点が中央線から±1標準偏差の区間内にある場合。15番目の点のサブグループに対して警告を出します。

テスト 8

8個の連続した点が中央線から±1標準偏差より外にある場合。8番目の点のサブグループに警告を出します。

範囲の限界外

R管理図・S管理図・MR管理図の各管理図において上側管理限界を超えるサブグループの数。

移動範囲の限界外

三元管理図([Xbar-MR-R管理図]および[Xbar-MR-S管理図])において移動範囲の限界を超えるサブグループの数。

最後の警告

Westen Electricルールに基づくテストまたは[範囲の限界外]テストのいずれかで最後に警告が生じたサブグループの位置。値は、最後のサブグループから数えて何番目かを示します。

工程能力

(一部の工程に対して[仕様限界]を指定した場合にのみ表示されます。)以下のオプションがあります。

Ppk

正規分布に従うことを仮定し、全体シグマに基づいて求めた工程能力指数。統計的詳細については、『品質と工程』の「工程能力」プラットフォームの統計的詳細を参照してください。デフォルトではオンになっています。

Cpk

正規分布に従うことを仮定し、群内シグマまたは群間+群内シグマに基づいて求めた工程能力指数。統計的詳細については、『品質と工程』の「工程能力」プラットフォームの統計的詳細を参照してください。デフォルトではオンになっています。

Cp

平均が目標値と一致し、かつドリフトが生じなかったら(平均が時間に伴い変化しなかったら)達成できであろう工程能力指数。詳細については、『品質と工程』の正規分布の工程能力指数を参照してください。

目標指数

短期標準偏差に対する工程平均と目標値の差の比。工程平均が仕様限界の中間にあるかどうかを示す指標です。目標指数は3(Cp - Cpk)として計算されます。目標指数が1を超える場合は悪い状態、0.5~1の間は微妙な状態、0.5未満であれば適切な状態とみなされます。White et al.(2018)を参照してください。

仕様限界外の度数

仕様限界の外にある測定値の個数。デフォルトは「オン」です。

仕様限界外の割合

仕様限界の外にある測定値の割合。デフォルトは「オン」です。

仕様限界外の期待割合

仕様限界の外にある測定値の期待割合。[仕様限界外の期待割合]は正規分布に従う安定した工程を仮定し、全体シグマを使用します。

最後の仕様限界外

仕様限界外になっている最後の測定値の位置。値は、最後から数えて何番目かを示します。デフォルトは「オン」です。

(平均-目標値)/仕様範囲

仕様によって標準化した平均。これは、「工程能力」プラットフォームにおける「仕様限界で標準化した平均のシフト」と同じです。統計的詳細については、『品質と工程』のゴールプロットを参照してください。

標準偏差/仕様範囲

仕様で尺度化された標準偏差。これは、「工程能力」プラットフォームの「仕様限界で標準化した標準偏差」と同じです。統計的詳細については、『品質と工程』のゴールプロットを参照してください。

LSL

下側仕様限界。

USL

上側仕様限界。

目標値

目標値。

シフトの大きさと位置

(「工程のスクリーニング」の赤い三角ボタンのメニューから[シフトの検出]を選択した場合にのみ表示されます。)1群内シグマを超えるシフトを検出します。ここで使われるアルゴリズムでは、個々の測定値に対して、外れ値を修正し、また、指数加重移動平均(EWMA; Exponentially Weighted Moving Average)で平滑化しています。アルゴリズムは以下のとおりです。

外れ値がシフトとみなされることを防ぐために、外れ値を修正しています。起動ウィンドウにある「外れ値の閾値」(デフォルトでは5)にて、外れ値を除外する感度を変更できます。「外れ値の閾値」に群内シグマを掛けたものよりも両隣の測定値が離れている場合、該当の測定値を、最も近い測定値から1群内シグマだけ離れた値に置き換えます。

指数加重移動平均が、時間順に並べたサブグループ平均に対して、および、時間の逆順に並べたサブグループ平均に対して計算されます。デフォルトでは、この指数加重移動平均の計算におけるラムダが0.3に設定されています。

連続した指数加重移動平均のなかで、1群内シグマを超える最大の正および負のシフトが特定されます。

これらのシフトの絶対値を群内シグマで割った値が、「最大の上昇シフト」および「最大の下降シフト」として表示されます。

「上昇シフトの位置」と「下降シフトの位置」は、これらのシフトが生じている最初のサブグループの位置です。

最大の上昇シフト

1群内シグマを超えるもののなかで最大の上昇シフトが、群内シグマの何倍になっているかが表示されます。

上昇シフトの位置、または上昇シフト <時間変数>

最大の上昇シフトを持つサブグループの位置。時間変数を指定した場合、要約表における列の名前は「上昇シフト <時間変数>」となり、シフトの位置が時間変数を使って表されます。

最大の下降シフト

1群内シグマを超えるもののなかで最大の下降シフトが、群内シグマの何倍になっているかが表示されます。

下降シフトの位置、または下降シフト <時間変数>

最大の下降シフトを持つサブグループの位置。時間変数を指定した場合、要約表における列の名前は「下降シフト <時間変数>」となり、シフトの位置が時間変数を使って表されます。

ドリフトの大きさと位置

(「工程のスクリーニング」の赤い三角ボタンのメニューから[ドリフトの要約]を選択した場合にのみ表示されます。)ドリフト検出は、工程におけるより小さく緩やかな変化を検出するために行われます。このアルゴリズムは、ドリフト検出にEWMAではなくHoltの2重指数平滑化法(Holt Double-Exponential Smoother)を採用しているという点を除き、シフトの検出で使用されるものと同じです。アルゴリズムは以下のとおりです。

シフトの検出で使用されるのと同じ工程を通じて、外れ値が削除されます。シフトの大きさと位置を参照してください。

ドリフト検出アルゴリズムが、時間順に並べたサブグループ平均に対してHoltの2重指数平滑化モデルをあてはめ、時間の逆順に並べたサブグループに対してもう一度Holtの2重指数平滑化モデルをあてはめます。2つの平滑化モデルのあてはめには、それぞれ2つの平滑化定数(水準のaと傾きのb)があります。平滑化定数bは0.05に設定され、平滑化定数aは誤差が最小となるように推定されます。

正のドリフト値、負のドリフト値、およびドリフトの絶対値の平均がそれぞれ「平均上昇ドリフト」、「平均下降ドリフト」、および「平均絶対ドリフト」として表示されます。

平均上昇ドリフト

正のドリフト値の合計を度数で割った値。

平均下降ドリフト

負のドリフト値の合計を度数で割った値。

平均絶対ドリフト

すべてのドリフト値の絶対値の合計を度数で割った値。

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