[因果処置効果]手法の概要「モデルのあてはめ」プラットフォームの[因果処置効果]手法によって、観測データから潜在結果(potential outcome)の平均や平均差を推定できます。処置変数のモデル(treatment model)および結果変数のモデル(outcome model)を推定するのには、「一般化線形混合モデル」プラットフォームが利用されています。[因果処置効果]手法では、処置変数が二値変数または連続変数の場合に対応しています。
処置変数が二値変数の場合、次の方法によって、潜在結果の平均や平均処置効果(ATE; average treatment effect)を推定します。
• 比調整逆確率重み付け法(IPWR; inverse probability weighting with ratio adjustment)
• 回帰調整法(REGADJ; regression adjustment)
• 拡張逆確率重み付け法(AIPW; augmented inverse probability weighting)
処置変数のモデルだけを指定したり、結果変数のモデルだけを指定したり、もしくは、両方のモデルを指定したりできます。処置変数のモデルは、処置変数の一方の水準が割り付けられる確率を推定します。結果変数のモデルは、結果変数の期待値を推定します。処置変数のモデルのみを指定した場合、平均処置効果はIPWRを使って推定されます。結果変数のモデルのみを指定した場合、ATEはREGADJを使って推定されます。処置変数のモデルと結果変数のモデルの両方のモデルを指定した場合、ATEはAIPWを使って推定されます。AIPWは二重ロバスト性をもちます。「二重ロバスト性」とは、処置変数のモデルと結果変数のモデルのどちらかのモデルが正しいモデルであれば、AIPWによる平均処置効果の推定値は一致推定量となる、という性質のことです。
処置変数のモデルを指定した場合(つまり、IPWRやAIPWの場合)は、逆確率重みに対する閾値を指定したり、追加の分析として傾向スコアマッチングを行ったりすることもできます。処置変数のモデルのみを指定した場合(つまり、IPWRの場合)は、逆確率重みとして安定化重み(stabilized weight)を用いることもできます。
処置変数および結果変数が連続変数の場合、次の方法によって、潜在結果の平均を推定します。
• IPWRに基づく周辺構造モデリング(MSM; marginal structural modeling)(Hernán and Robins 2020)
• 一般化傾向スコアモデリング(GPSモデリング; generalized propensity score modeling)(Hirano and Imbens 2005)
IPWR法もGPS法も、両方とも、処置変数における特定の水準における潜在結果の平均値を推定します。なお、処置変数が連続変数の場合、処置変数のモデルの指定は必須ですが、結果変数のモデルは指定しても無視されます。処置が連続変数の場合、結果変数も連続変数である必要があります。
[因果処置効果]手法のレポートには、次の内容が含まれます。
• 集団全体での、および、処置群集団での、潜在結果の期待値に対する推定値
• ATE(集団全体での平均処置効果; average treatment effect)およびATET(処置群での平均処置効果; average treatment effect on the treated)の推定値
• 処置変数のモデルおよび結果変数のモデルの推定結果
• 因果推論の仮定が満たされているかどうかを確認するためのグラフ