公開日: 09/09/2026

Image shown here因果推論の仮定に関する統計的詳細

「因果処置効果」手法は、因果効果の大きさを推定します。ここで「因果効果」は、潜在結果の関数によって表されます。「潜在結果」(potential outcome)とは、処置変数Xを特定の値xに設定した場合に得られるであろう結果変数の値です。たとえば、処置変数(treatment)Xが二値変数で、結果変数(outcome)Yを調べたい場合、個体ごとにY(0)とY(1)という2つの潜在結果がありえます。しかし、実際のデータにおいては、特定の時点および個体について、これら2つの潜在結果のうちの1つの潜在結果のみが観察できます。

ランダム化比較試験においては、処置がランダムに割り当てられるため、処置群と非処置群とのあいだで、処置変数および共変量はバランスがとれるはずです。しかし、観察研究においては、処置変数と結果変数の両方に影響を及ぼす交絡変数(confounding variable)Zがいくつかあるのが一般的です。そこで、因果推論においては、与えられたデータから得られた情報に基づき、この交絡バイアスを制御して、潜在結果を推定します。

ここで、因果効果を観察データから識別するために、3つの仮定が必要となります。これら3つの仮定は、正値性を除き、得られたデータから経験的に検証することはできません。なぜなら、これらは、得られたデータではなく、データ生成過程に関する仮定であるからです。

観測データから因果効果を推定する際には、次の3つの仮定が成り立っていることを前提とします。

1. 正値性(positivity)

2. 因果一致性(consistency)

3. 条件付き交換可能性(conditional exchangeability)

正値性

正値性とは、Zのあらゆる組み合わせに対して、どの処置水準も受ける可能性があるということです。正値性の仮定は、次式で表せます。

Equation shown here

興味があるすべての処置水準xについて、上式が成り立つものとします。

因果一致性

因果一致性とは、ある個体が処置水準xを受けたならば、その介入は他の個体が受けた介入とまったく同じものである、という仮定です。これは、処置Xが適切に定義されている(well-defined)ことを意味します。因果一致性の仮定は、「すべての個体について、処置水準としてxを受けた場合の結果Yの観測値が、その処置水準の潜在結果Y(x)と同じになっている」という仮定です。この仮定は、次式で表せます。

Equation shown here

すべての個体について、いずれのX = xにおいても、上式が成り立つものとします。

条件付き交換可能性

条件付き交換可能性とは、「処置が割り当てられる確率が、観測された交絡変数Zのみに依存する」という仮定です。別の観点から述べると、「Zで条件付けたもとで、Y(x)とXが独立している」という仮定です(ここで、Zは、XがYに及ぼす影響と交絡している変数の組です)。

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