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REML手法の「最小2乗法によるあてはめ」レポートは、「Investment Castings.jmp」サンプルデータでのREML法のレポートです。サンプルデータに添付されている「モデル: REML」スクリプトを実行すると、このレポートが作成されます。「鋳造」が、「温度」から枝分かれしている変量効果になっています。
図3.63 REML手法の「最小2乗法によるあてはめ」レポート
このレポートには、変量効果の各水準に対して、最良線形不偏予測量(BLUP; Best Linear Unbiased Predictor)の経験的推定値と、その効果が0かどうかの検定が表示されます。
変量効果の各水準における最良線形不偏予測量(BLUP)の経験的推定値。第 “最良線形不偏予測量(BLUP)”を参照してください。
「該当する水準の効果は0である」という仮説を検定するためのt値。BLUPをその標準誤差で割ったものです。
検定のp値。
最良線形不偏予測量(BLUP; Best Linear Unbiased Predictor)は、変量効果の各水準に対する予測量のことです。BLUPは、不偏な予測量のなかで、予測誤差の平均平方を最小化するものを指します。「変量効果の予測」レポートには、このBLUPの経験的推定値(経験的BLUP)が表示されます。BLUPは、分散成分の値に依存しますが、それらは通常、未知です。「経験的」とは、それらの未知である分散成分に、その推定値を代入してBLUPを求めることを意味します。
「共分散パラメータが0と等しい」という検定のp値。この列は、「モデルのあてはめ」起動ウィンドウで[分散成分の範囲制限なし]オプションを選択した場合のみ表示されます。
Kackar-Harville修正に関する値。第 “Kackar-Harvilleの修正”を参照してください。この列は、レポートを右クリックし、[列]>[ノルムKHC]を選択した場合のみ表示されます。
REML法では、固定効果の標準誤差は、分散成分の推定値を使って求められます。この時、分散成分の推定値がもつばらつきが考慮されていなければ、固定効果の標準誤差は過小評価されます。JMPでは、分散成分の推定値がもつばらつきを考慮するために、Kackar‐Harvilleの修正によって、固定効果の共分散行列が調整されます(Kackar and Harville,(1984)、Kenward and Roger(1997))。固定効果の共分散行列に関係するすべての計算において、この修正が使われます。この修正が行われるものには、固定効果の最小2乗平均、固定効果の検定、固定効果の信頼区間、および予測値の分散が含まれます。詳細については、第 “Kackar-Harvilleの修正”を参照してください。
REML法は、σ2Gの分散成分を、これらのパラメータだけに依存する残差尤度関数を最大化することにより推定する方法です。JMPの反復計算では、この残差対数尤度の-2倍を最小化していきます。「反復回数」レポートには、反復計算の履歴が表示されます。
反復計算の収束基準は、勾配ベクトルのノルムに基づいています。デフォルトの基準値は、10‐8です。この収束基準は、「モデルのあてはめ」起動ウィンドウで変更できます。それには、「モデルの指定」の赤い三角ボタンメニューから[収束の設定]>[収束限界]を選択し、任意の基準値を指定します。
REML法を使用すると、[列の保存]メニューに6つの追加のオプションが表示されます。これらのオプション名には、「条件付き」という接頭語が付きます。この接頭語は、これらの列が、固定効果の周辺期待値ではなく、変量効果も考慮した条件付きの予測値であることを意味しています。