公開日: 04/21/2025

検出力分析

「検出力分析」では、検出力の計算に使う設定(係数の予想値、有意水準RMSEの予想値)を指定します。これらの値を考慮して、モデルパラメータの検定に対する検出力が計算されます。検出力とは、特定の大きさをもつ効果を検出できる確率のことです。「検出力分析」は、現在の計画によって重要な効果を検出できるかどうかを評価するのに役立ちます。検出力が高ければ高いほど、(係数とRMSEに関する仮定が正しいと想定したときの)効果を検出できる確率が大きくなります。検出力は、実験回数・有意水準・誤差分散などによって決まります。

有意水準

「効果なし」という帰無仮説が真のときに、その帰無仮説を誤って棄却する確率。

RMSEの予想値

誤差の標準偏差(誤差分散の平方根)。

「検出力分析」表には、以下の列があります。

検定される係数に対応しているモデル項の名前。

係数の予想値

モデル項に対応している係数の予想値。この予想値には、検出したい係数の値を指定します。この係数の値は、項の値が中間値から最高値に変化したときの応答の平均差、あるいは、特定のカテゴリの応答平均から全体平均までの差です。係数は、検出力の計算に使用されます。また、「計画と予測応答」セクションの「応答の予想値」列の計算にも使われます。「係数の予想値」列に新しい値を入力し、[係数の予想値に基づき変更]ボタンをクリックすると、「検出力」と「応答の予想値」の列が更新されます。

メモ:

「係数の予想値」のデフォルト値は、連続尺度の効果に対しては、1です。これは、係数が1の場合、連続変数が最低値から最高値に変化したとき、応答が2だけ変化します。

「係数の予想値」のデフォルト値は、連続尺度の効果なら1、カテゴリカルな効果なら-1です。

「検出力分析」の赤い三角ボタンのメニューから[詳細オプション]>[検出力計算のデルタを設定]を選択すると、デルタの値を変更できます。デルタの値を変更すると、「係数の予想値」の値が、それらの絶対値がデルタの半分になるように更新されます。詳細については、検出力計算のデルタを設定を参照してください。

検出力

指定した「係数の予想値」が真の係数の値である場合に、「効果はない」という帰無仮説を棄却できる確率。連続変数の主効果に対しては、低水準と高水準における応答平均の差は、係数に2を掛けた値です。カテゴリカル因子の係数の場合、因子の全水準における(モデルに基づく)応答平均の変化は、係数の予想値の絶対値に2を掛けた値になります。検出力の計算には、「有意水準」と「RMSEの予想値」も考慮されます。検出力の計算については、1つのパラメータに対する検出力を参照してください。

係数の予想値に基づき変更

「係数の予想値」を検出力の計算と応答の予想値に適用します。

3水準以上のカテゴリカルな因子がモデルに含まれている場合は、[係数の予想値に基づき変更]ボタンの下に次の列が表示されます。

効果

カテゴリカルな因子の名前。

検出力

「効果がない」という帰無仮説に対する検定の検出力。なお、この帰無仮説は、「因子のすべての水準において、応答平均は等しい」、つまり、「効果に関係するすべてのモデルパラメータはゼロである」というものです。検出したい応答平均の差は、「係数の予想値」列によって決められます。「係数の予想値」によって定義された応答平均の差をもとに、検出力が計算されます。「係数の予想値」によって定義された応答平均の差をもとに、検出力が計算されます。検出力の計算には、「有意水準」と「RMSEの予想値」も考慮されます。検出力の計算については、カテゴリカルな効果に対する検出力を参照してください。

図16.7 カテゴリカルな因子がある場合の「検出力分析」レポート 

Power Analysis Report with Categorical Factors

計画と予測応答

「計画と予測応答」セクションでは、最初に「応答の予想値」列、続いて計画が表示されます。それぞれの計画の設定に対し、「係数の予想値」を使って「応答の予想値」が計算されます。

応答の予想値

計画の各実験に対して計算された応答の予想値。「応答の予想値」のデフォルト値は、「係数の予想値」のデフォルト値に基づいて計算されています。予想値は、表の中で直接変更するか、「係数の予想値」を更新することで変更できます。

計画の作成

「応答の予想値」の右に続く列は、計画に含まれる実験の因子設定を示しています。

応答の予想値に基づき変更

「応答の予想値」の値を「係数の予想値」に適用します。これにより、検出力の計算と「RMSEの予想値」も更新されます。

図16.8 応答の予想値 

Anticipated Responses

「検出力分析」の赤い三角ボタンのメニューには、以下のオプションがあります。

検出力を満たす係数を求める

希望する検出力を指定できます。「係数の予想値」が、指定した検出力で検出できる値に変更されます。

検出力計算のデルタを設定

検出したい差の値を指定します。指定された値は、「検出力分析」レポートの「係数の予想値」を設定するのに使われます。連続尺度の効果においては、「係数の予想値」はデルタの2分の1に設定されます。カテゴリカルな効果の場合、デルタの2分の1と、それに負の符号をつけた値が交互に使用されます。検出力分析の詳細については、検出力分析を参照してください。

デフォルトのデルタ値は2です。そのため、「係数の予想値」には、連続尺度の効果なら1、カテゴリカルな効果なら1と-1が交互に割り当てられます。デルタが2のときに「係数の予想値」として入力されるデフォルト値には、次のような性質があります。

連続尺度や離散数値の主効果に対する検出力は、「因子を最小から最大に変更したときに、応答平均がデルタだけ変化する」場合に、それを検出できる確率と解釈できます。

カテゴリカルな主効果に対する検出力は、「平均の差がデルタである」場合にそのデルタだけの差を検出できる確率と解釈できます。

3水準数以上のカテゴリカルな主効果全体に対する検出力は、自由度が2以上のF検定に対する検出力となります。この検定の帰無仮説は、「すべての水準の応答平均は等しい」です。検出力は、各応答平均が「係数の予想値」により導かれるものであったときの検出力と解釈できます。「係数の予想値」を指定することにより、ある水準と別の水準との差(「デルタ」)を定義できます。ただし、因子全体の検出力は、2つの水準だけではなく、それらとは別の水準の「係数の予想値」によっても異なってきます。

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