[因果処置効果]手法の例この例では、「モデルのあてはめ」プラットフォームの[因果処置効果]手法を使って、高血圧の新薬が収縮期血圧(SBP; systolic blood pressure)に及ぼす効果を推定します。ある観察研究において、各研究参加者から生物学的情報および行動に関する情報を収集したとしましょう。「処置」変数は、研究参加者が薬を投与されたかどうかを表します。なお、この観察研究においては、処置はランダムに割り付けられていないものとします。
1. [ヘルプ]>[サンプルデータフォルダ]を選択し、「Blood Pressure Treatment.jmp」を開きます。
2. [分析]>[モデルのあてはめ]を選択します。
3. 「列の選択」リストで「投与後 収縮期血圧」を選択し、[Y]をクリックします。
4. 「手法」のリストから[因果処置効果]を選択します。
5. 「列の選択」リストで「処置」を選択し、[処置]をクリックします。
6. 「年齢」、「ベースライン 収縮期血圧」、「糖尿病」、「BMI」、「身体活動」、「食事の質」を選択し、「結果変数のモデル」タブで[追加]をクリックします。
図14.2 入力が完了した「モデルのあてはめ」起動ウィンドウと「結果変数のモデル」タブ
7. 「処置変数のモデル」タブを選択します。
8. 「年齢」から「保険適用」までを選択し、[追加]をクリックします。
図14.3 入力が完了した「モデルのあてはめ」起動ウィンドウと「処置変数のモデル」タブ
9. [実行]をクリックします。
「モデル 1」レポートの「因果効果の分析」表に、2つの「潜在結果の平均」と「ATE」の推定値が算出されます。2つの「潜在結果の平均」うち、「介入名」が「0」の推定値は、すべての研究参加者が処置を受けなかった場合の平均収縮期血圧の推定値を示します。2つの「潜在結果の平均」うち、「介入名」が「1」のほうは、すべての研究参加者が処置を受けた場合の平均収縮期血圧の推定値を示します。「ATE」(average treatment effect; 平均処置効果)は、これら2つの値の差です。「ATE」の推定値は-9.25で、95%信頼区間は-10.46から-8.042となっています。因果効果推定の仮定が適切であれば、この新薬は、収縮期血圧をコントロール群と比べて平均で9.25 mmHg下げると結論付けることができます。
図14.4 モデルのレポートの「因果効果の分析」表
10. 「因果処置効果のあてはめ」の赤い三角ボタンをクリックし、[言葉による説明や解釈を表示]を選択します。
表の下に解釈が表示されます。また、「モデル 1」レポートの先頭における「統計分析のレポート」にも、同じ内容の解釈が表示されます。
「因果推論の仮定に対する確認」セクションの「正値性」プロットには、処置群とコントロール群の傾向スコアの分布が描かれます。プロットの下には、正値性の仮定が満たされているかどうかをプロットで確認する方法が説明されています。この「正値性」プロットで、傾向スコアが0や1に近いものがある場合には注意が必要です。傾向スコアが0や1に近い対象者は、分析に含めるかどうかをよく検討する必要があります。
Figure 14.5の「共変量のバランス」プロットには、コントロール群と処置群の間の絶対標準化平均差(ASMD; absolute standardized mean difference)が、処置変数のモデルにおいて指定した各変数について表示されます。赤の点は、元データから計算されたASMDです。この赤い点は、共変量の平均が、コントロール群と処置群でどれぐらい異なっているかを示しています。青の点は、IPWによって調整された後のASMDです。IPWによって、平均差は縮められます。IPW調整した後では、コントロール群と処置群は、すべての共変量の水準において、(処置のバランスが同じようになるのと同様に)ほぼ同じ分布になるはずです。つまり、処置変数がランダムに割り付けられたかのようになります。
図14.5 モデルのレポートの「共変量のバランス」プロット