基本的な回帰モデル > 因果処置効果の推定 > [因果処置効果]手法の統計的詳細 > 因果効果の推定対象と推定量に関する統計的詳細
公開日: 09/09/2026

Image shown here因果効果の推定対象と推定量に関する統計的詳細

因果推定対象(causal estimand)とは、推定対象となっている因果効果のことです。推定量(estimator)とは、推定対象の推定値を求めるための、データを引数としている関数のことです。一般的には、推定方法によって、推定量および推定値は異なります。

処置変数が二値変数である場合、「因果処置効果」のレポートには、以下に説明する2種類の因果推定対象を推定した結果が表示されます。一方、処置変数が連続変数の場合、「因果処置効果」のレポートには、平均潜在結果の推定値が表示されます。処置変数が連続変数の場合の詳細については、処置変数が連続変数である場合の統計的手法を参照してください。

平均処置効果(ATE)

平均処置効果(ATE; average treatment effect)は、「調査対象の集団全体が処置X = 1を受けた場合の結果の平均」と、「調査対象の集団全体が処置X = 0を受けた場合の結果の平均」の差です。因果推定対象であるATEは、次のように定義されます。

Equation shown here

ここで、Y(0)とY(1)は潜在結果です。

処置変数が二値変数である場合、[因果処置効果]手法では、ATEの推定量として、モデルの指定方法に応じて、IPWR、REGADJ、AIPWのいずれかを使用します。IPWRは比調整逆確率重み付け法(inverse probability weigting with ratio adjustment)、REGADJは回帰調整法(regression adjustment)、AIPWは拡張逆確率重み付け法(augmented inverse probability weighting)です。因果推論の3つの仮定が満たされている場合、ATEが識別でき、これらの推定量は妥当な推定量となります。

IPWR推定量

IPWR推定量は次のように定義されます。

Equation shown here

ここで、πiは個体iが処置X = 1を受ける確率(傾向スコア)、nは観測データセットの標本サイズです。[因果処置効果]手法においては、「処置変数のモデル」に指定された変数を説明変数としたロジスティック回帰モデルによって、傾向スコアを推定します。

REGADJ推定量

REGADJ推定量は次のように定義されます。

Equation shown here

ここで、yi1およびyi0はそれぞれ、個体iにおいて処置Xを「1にしたとき」および「0にしたとき」に、Yがとるであろう値です。また、nは観測データの標本サイズです。

[因果処置効果]手法においては、「結果変数のモデル」に指定された変数を説明変数にして、yi1およびyi0が推定されます。「結果変数のモデル」は、結果変数が二値変数の場合はロジスティック回帰モデルで、結果変数が連続変数の場合は線形回帰モデルです。

AIPW推定量

AIPW推定量は次のように定義されます。

Equation shown here

ここで、πiは個体iの傾向スコア、yi1およびyi0はそれぞれ、個体iにおいて処置Xを「1にしたとき」および「0にしたとき」に、Yがとるであろう値です。また、nは観測データの標本サイズです。

[因果処置効果]手法においては、「処置変数のモデル」を使って、傾向スコアが推定されます。また、「結果変数のモデル」を使って、yi1およびyi0が推定されます。

処置群の平均処置効果(ATET)

処置群の平均処置効果(ATET; average treatment effect on the treated)は、調査対象の集団のうち実際に処置を受けた集団での、「処置X = 1」と「処置X = 0」を受けた場合の結果の平均の差です。ここで、因果推定対象であるATETは、次のように定義されます。

Equation shown here

ここで、Y(0)とY(1)は潜在結果です。

[因果処置効果]手法では、ATETの推定量(推定方法)にも、ATEと同じ名前を用いますが、実際の推定量(推定するための計算式)はATEとATETでは異なります。

IPWR推定量

ATETのIPWR推定量は、次のように定義されます。

Equation shown here

ここで、πiは個体iの傾向スコア、nは観測データの標本サイズです。

REGADJ推定量

ATETのREGADJ推定量は、次のように定義されます。

Equation shown here

ここで、yi1およびyi0はそれぞれ、個体iにおいて処置Xを「1にしたとき」および「0にしたとき」に、Yがとるであろう値です。また、nは観測データ全体の標本サイズ、n1は処置群の標本サイズ(データのなかで処置を受けた個体の数)です。

AIPW推定量

ATETのAIPW推定量は、次のように定義されます。

Equation shown here

ここで、πiは個体iの傾向スコア、yi1およびyi0はそれぞれ、個体iにおいて処置Xを「1にしたとき」および「0にしたとき」に、Yがとるであろう値です。また、nは観測データ全体の標本サイズ、n1は処置群の標本サイズ(データのなかで処置を受けた個体の数)です。

因果推論の3つの仮定が満たされている場合、ATETが識別でき、これらの推定量は妥当な推定量となります。

より詳細な情報が必要な場合や、質問があるときは、JMPユーザーコミュニティで答えを見つけましょう (community.jmp.com).