ユーザー事例

株式会社セプテーニ・ホールディングス

データ活用で人事は大きく変わる
定量的な判断基準で退職の確率を下げる人事異動を可能に

株式会社セプテーニ・ホールディングス

チャレンジ
人材採用におけるミスマッチをなくすとともに、定着化を促進する施策により離職率を低減させる
解決策人事部が蓄積してきた入社後の社員データから、利用できそうなものを抽出し、JMPを使って分析する
結果優秀な社員を最適なポジションへ人事異動させるなどの施策により、離職リスクを低減。人材育成への活用も実現している

データを使って人事する――。株式会社セプテーニ・ホールディングス(以下、セプテーニHD)の取り組みが注目を集めている。職場環境とのミスマッチから起こる退職を防ぐ施策を実施。また新卒採用では、エントリーや選考情報などに基づく入社後のパフォーマンス予測を活かし、採用プロセスを改善するなどの成果も挙げている。

 独自データで人材市場に勝負する

セプテーニHD は、ネットマーケティング事業やメディアコンテンツ事業を手がける企業だ。設立以来、急速な成長を遂げ、東証JASDAQへの上場を果たした。従業員数は1000人を超え、海外へも展開している。

同社にベンチャー企業特有の悩みがあった。人材の採用と定着化に課題を抱えていたのだ。当時の従業員数は200人程度。採用のミスマッチが多く、離職率も高かったという。そこで、現在取締役を務める上野勇氏は、データを使った独自の人材育成戦略を構築できないかと考えた。現代表取締役の佐藤光紀氏から受け取った、セイバーメトリクス理論を使って低予算に強豪野球チームを作った『マネーボール』の書籍がアイデアの種だ。こうした背景から、数年後、人事内で2人の“特命チーム”が編成された。

同社 人的資産研究所 進藤 竜也氏は、「当社はベンチャー企業ですので、採用予算は潤沢ではありません。投資コストで戦うのではなく、独自のデータを活かして人材市場で勝つことが目的でした。取り組みを始めたころは人事の業務と並行して人材育成の研究を行っており、人的資産研究所という組織になったのは最近のことです」と話す。

戦略的異動で優秀な人材の定着を

組織化されたのは、その成果が認められたためでもある。進藤氏らは、「データを競争力に変える」というアイデアから試行錯誤し、さまざまな成果を出すに至った。時間を戻してみよう。初期は、Excelを使って予測を立てようとした。しかし、パワー不足は否めず、進藤氏が学生時代の友人に相談。そこで紹介されたのがJMPだった。

進藤氏は、「未来を予測するところで行き詰まっていました。すぐに導入したいと考えていたため、トライアル版をダウンロードすると同時に購入手続きを進める慌ただしさでした」と当時を振り返る。

同社の人事データベースでは、入社時に170の項目が埋められる。エントリーシートの内容や、面接評価などを指標化したものだ。データ項目の中には、株式会社ヒューマンロジック研究所が提供するFFS理論を適用したものも含まれている。それらのデータが、入社後10年目を迎えると、800項目に増える。その大量のデータ項目の中から使えそうなものを抽出し、解析することで、様々な傾向を発見し、人材育成に活用していく。その一つが退職可能性の予測だった。

検証を繰り返し、予測精度を高めていき、その結果が経営陣にも認められたことで、組織編成時の重要指標として活用をはじめている。

「以前、潜在退職率の高い優秀な社員数名を異動によって退職する確率を下げることができました。データを使った人事を実際に行い、結果として彼らは退職せず現在も活き活きと働いてくれているのです。」(同氏)

同社の考え方では、潜在退職率は、職場との「相性」によって導かれることもある。相性は、資質と環境の組み合わせによって定まる。資質は人材の個性であり、環境はチームと仕事内容から求められる。異動によってチームや仕事内容、すなわち環境が変わる。相性の値が高くなる部署へ意図的に異動させることで、長く活躍してもらうことができる、というアプローチだ。面白いのは、その相性と評価をイコールの関係でとらえたこと。評価(成長)=個性×環境[チーム+仕事]という方程式で概念化したところだ。

この考え方が定着するとともに、人材育成の考え方も大きく変化した。必要な知識を与えて“育てる”のではなく、良質な環境と経験で人材が“自ら育つ”ことを理想とするようになったのだ。現在、同社にとっての人材育成は、「社員が良質な経験を重ねられているかどうかを科学的に測定・評価する取り組み」と定義されている。


以前、潜在退職率の高い優秀な社員数名を異動によって退職する確率を下げることができました。データを使った人事を実際に行い、結果として彼らは退職せず現在も活き活きと働いてくれているのです。

人材の能力だけを見て採用するか否かを判断するのではなく、セプテーニという環境に合うかどうか、という見方でスクリーニングしています。入社してくれた人材には、セプテーニという環境を存分に楽しみながらパフォーマンスを発揮してもらいたいですし、環境とのミスマッチが原因で退職してしまうことをあらかじめ防ぐことができます。

人的資産研究所
進藤 竜也氏

採用段階からデータを活用

データ活用の取り組みは、採用においても行われている。入社後のパフォーマンスを予測するモデルを作り上げ、それをエントリー情報から得たデータと、FFS理論から得た個性を組み合わせて分析し、次の選考に進んでもらうかどうかを決める。

「人材の能力だけを見て採用するか否かを判断するのではなく、セプテーニという環境に合うかどうか、という見方でスクリーニングしています。入社してくれた人材には、セプテーニという環境を存分に楽しみながらパフォーマンスを発揮してもらいたいですし、環境とのミスマッチが原因で退職してしまうことをあらかじめ防ぐことができます」(同氏)

現在、同社の人事にはJMPがふんだんに利用されている。採用から新人の配属、環境を整えることによる人材育成、そして退職リスクの軽減。進藤氏は、「将来は、人材にかかわるすべての場面で人事や経営の判断をサポートするモデルを作りたい」と話す。採用から入社、その後社内で経験を重ね、経営層へと至るキャリアステップで、常にデータを活用していくアプローチだ。

「入社してくれた人材の質を内部で高めていくことが理想です。そもそも社風に合うと判断した人を採用しているわけですから、人材に最適な環境を提供することで、必ず結果を出してくれるはず。JMPを使ったデータ活用による人事は、社員全員がより良い人材へと成長することを支援するための定量的な判断基準を与えてくれます」(同氏)

※ 本事例に記載の内容は2017年4月時点のものです

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