データの読み込み
データの読み込み
ユーザーが使用するデータには多くの形式があります。JMPはその多くのデータに対応しています。
Microsoft ExcelのデータはExcel読み込みウィザードで、テキストファイルはテキスト読み込みウィザードで、ODBC互換データベースからは対話式のクエリービルダーを使用してデータを取り込むなど、JMPではあらゆる形式のデータを読み込めます。
企業や組織では、大量のデータや情報をデータベースに保管していますが、データベースは通常、分析よりも保管や処理の効率化を目的として設計されています。つまり、分析に必要なデータが複数のテーブルに分散している場合、これらのテーブルをまず結合しなければなりません。このために多くの作業が発生し、データテーブルの詳細だけでなく、これらを結合するために必要なSQLやその他のツールの使用方法を習得する必要があります。
クエリービルダーは、対話的な操作が可能で、ユーザーがSQLを書く必要がありません。このJMPのプラットフォームを使用して、主テーブルと1つまたは複数の副テーブルを指定するだけで、自動的に主テーブルの外部キーを副テーブルの主キーと一致させます。これにより、データテーブルの結合は面倒な作業ではなくなります。
クエリービルダーは、データテーブルの自動マッチング機能を併せ持ち、シンプルなクエリーから複雑なクエリーまで、データベースからデータを読み込むために必要な機能のすべてを備えています。これらすべてをJMPだけでできます。
JMPでは、次のソースからのデータの読み込みや、サンプリングが可能です。
- SAS®データセット
- さまざまな種類のフラットファイル(テキストファイル、Rコード、MATLABコード、HTMLファイル、SPSSファイル、Minitab Portable Worksheetファイルなど)
- Webページ(HTMLテーブル)
すべての場合において、JMPへのデータの読み込みは対話的で、読み込みの設定中に行った変更が反映されます。JMPテーブルとして読み込まれたファイルは、時間と手間がかからないようにあらかじめ設定がされており、可能なかぎりすぐに分析が始められるようになっています。
たとえば、使用する統計解析のツールが、どのような形式のデータでも確実に処理できるとしたら、どうでしょうか。これこそ、JMPが提供するものです。JMPに読み込まれたデータはメモリ上に展開されるため、データをどこから読み込んだかは問題ではありません。JMPのデータテーブルは、分析を行うために最適化されており、元のソースの構造やメタデータを最大限保存しながら、データを探索できるようになっています。
データのクレンジング
分析のためのデータ準備にどれだけの時間を費やしていますか?データ分析には、データのクレンジングは常に必要な作業です。JMPは長年にわたりこの事実に着目し、データの準備を、簡単、迅速かつ信頼度の高いものにすることに取り組んできました。
JMPにはデータのクレンジングを支援するための機能が搭載されています。他のソフトウェアでは困難な、あるいは不可能なことが、JMPでは簡単に行えます。データを直接クレンジングできない場合でも、JMPには分析に及ぼすデータ問題の影響を最小化するための手法が含まれており、多くの場合データを問題のない状態にする必要性とその労力が解消されます。
データをJMPのテーブルとして読み込めば、さまざまなテーブル加工の機能によって、すべてのデータを1つのファイルに連結したり、簡単にテーブルを結合したりできます。また、2つのテーブルを結合せずに、別テーブルのデータを参照することができるため、大容量のデータセットを結合することによって発生するメモリやデータストレージの問題を回避することができます。
データを分析する前に、データがきちんとしていること、つまり値が一貫して適切にコード化されていることを確認する必要があります。JMPには、この作業を行うための多くの方法が用意されています。たとえば、「一変量の分布」のプラットフォームでは、外れ値が見つかった場合、それをクリックするだけで、JMPの動的なリンク機能により、外れ値がテーブル上で選択されます。
データを可視化できることは、JMPの大きな利点です。データから見たことをすぐに理解することができたら、見落としていたものがどれだけあったか、驚くでしょう。
複数の人物がカテゴリを入力すると、名前の付け方に一貫性がなくなることがあります。項目名を正確にデータ化し、予測に使用するためには、それらが統一されている必要があります。JMPには、項目名の統合に必要な時間を短縮し、簡素化する再コード化の機能があります。1組の項目名を選択し、その中のどれをグループの代表にするかを選べたり、類似している項目名を自動的にグループ化できます。これにより、特に項目名の数が何百、何千もある場合でも、かなりの時間を節約できます。
JMPのデータクレンジングのその他の機能
- 外れ値のスクリーニング
- 入力ミス、エラーコード、欠測値/欠測値コードのスクリーニング
- 比の計算やさまざまな変換など、計算式列や変換列の作成
- 列プロパティが設定されている列の検索
- 連続データのカテゴリ化
- 区切り形式テキストの複数列への分割
- 指示変数の作成
- 列属性の一括設定
データの可視化
スプレッドシートを見ても、データセットのパターンや傾向はなかなか把握できません。パターンを知ることは、発見の手掛かりとなります。JMPにはダイナミックなデータの可視化ツールが豊富に揃っているため、統計的発見をより簡単に、そして効果的に行うことができ、イノベーションをもたらします。
JMPを使用すると、データ活用の可能性が広がり、データを動的に調べて興味のある事実を引き出すことができます。データに潜むストーリーを最適に伝える可視化の方法が見つかるまで、データ内をすばやく移動できます。
データを探索、可視化するときには、まずグラフビルダーを使用すると効率的です。ドラッグ&ドロップ操作だけで、シンプルなグラフや複雑なグラフが対話的に作成できます。変数を所定の位置にドラッグし、アイコンのパレットからグラフ要素を選択し、表示をカスタマイズするだけで、高品質のグラフが出力できます。グラフビルダーでは、ユーザーの状況に適したオプションが用意されています。
グラフビルダーは、JMPの豊富でダイナミックな可視化ツールの中で、統計的発見をより簡単かつ効果的にするための便利なツールです。
また、あらかじめJMPに用意された高品質の地図画像を使用して、グラフの背景に地図を追加することや、都市、道路、海、河川などを含むストリートレベルの地図にデータをプロットすることもできます。バブルプロットにより、多くの変数の時系列の変化をアニメーションとして作成できます。
結合された複数のグラフのほうが、1つのグラフよりもわかりやすい場合があります。この場合、ダッシュボード作成の機能を使うことにより、テンプレートを1回クリックするだけで、説得力があり、そのままプレゼンテーションで使用できるグラフを作成したり、自分だけのカスタマイズしたダッシュボードを作れます。
JMPのグラフは、単なるグラフでなく、データともリンクしています。
基本的なデータ分析
同僚に分析結果を伝え、議論の土台とする場合は、基本的なツールで視覚的な分析を行うと効果的です。一般的に、データ分析の最初のステップは、変数を1つずつ調べていくことです。これを、一変量分析と呼びます。JMPの「一変量の分布」プラットフォームで、分析対象とする列を指定すると、変数の尺度に応じたグラフや統計量が自動的に表示されます。
連続尺度のデータであればヒストグラム/要約統計量/箱ひげ図/分位点/工程能力分析/分布のあてはめが、名義尺度または順序尺度のデータであれば度数表が、素早く作成されます。
JMPの主な一変量、二変量分析の機能
- ヒストグラム、箱ひげ図
- 記述統計
- t検定、分散分析(ANOVA)、単回帰分析、ノンパラメトリック検定
- 分布のあてはめ
- スプライン曲線および曲線のあてはめ
- 基本統計量の計算およびシミュレータ、検出力および標本サイズの計算
テキストデータの分析
テキストデータの分析は、簡単ではありません。複雑で、構造化されておらず、規則性のないデータとなる場合もあります。JMPのテキストエクスプローラは、単語やフレーズの抽出、要約の作成、単語の可視化・整理を行うための対話的な機能を搭載しており、調査やエンジニアのメモに記載されたフリーテキストなど、構造化されていないテキストデータ内の潜在情報を突き止めることができます。
正規表現(RegEx)エディタを使用して、HTMLタグ、電話番号、メールアドレス、通貨などから単語や番号の一部分を抽出するための正規表現を作成・保存できます。
データのグループ化、フィルタリング、サブセット
どの業界でも、迅速に学習し、絶えず変化する顧客のニーズに沿うことが、他社に打ち勝つ早道となります。この学習サイクルを速めるためには、データのパターンを読み取り、最も重要なことに焦点を絞って、すばやく行動しなければなりません。うんざりするほど大量のレポートを作成し、プログラムを改変し、結果を待った挙句に行動を起こすのでは、遅すぎるのです。
JMPを使うと、日常的なデータ分析の作業をまったく新しいアプローチでこなすことができます。JMPのグループ化およびフィルタリング機能では、結果のレポートをインメモリですばやく計算し直します。そのためユーザーは、カテゴリカル変数の水準をクリックするだけで即座にレポートを更新でき、関心のあるデータをすばやく特定できます。また、ワンクリックで分析に用いる変数を新しい変数に切り替えることもできます。
JMPでは、グループ化とフィルタリングのために次のような機能を用意
- ローカルおよびグローバルのデータフィルタ
条件付きの設定も可能で、データテーブルの特定部分に焦点を当てることができます。よく使うフィルタ設定を保存しておけば、日常的なフィルタリング作業の効率が向上します
- 簡単に設定ができる行マーカー、色、ラベル
グラフを含むレポートやデータテーブルを高品質に仕上げることができます
- グラフを含むレポートや統計レポート内で変数を切り替えられる列スイッチャー。手動またはアニメーションを通じて変数を切り替えられるため、数百個の変数がある場合でもパターンや異常を見つけ出すことができます
- 多くの分析プラットフォームでBY変数を指定できます。これにより、同じ分析を、BY変数の値ごとに繰り返して実行できます
- 変数変換を即座に実行。分析の流れを妨げずに、マウス操作で多数のデータ列に統計的、数学的な変数変換を実施できます
- グラフを使用して、別のグラフをフィルタリングできます
実験計画(DOE)
多くの企業が「A/Bテスト」に頼った実験計画を実施していますが、流動的な因子が多数ある中で、ある状況を他の状況と1つずつ比較してテストしていては、ビジネスの動向をすばやく把握することはできません。
それとは対照的に、JMPの実験計画(DOE)が提供する実用的かつ実績あるアプローチは、より現実的に、多数の因子を同時に検討することができます。多因子実験を使用すると、個々の因子の効果だけでなく、2つ以上の因子を組み合わせたときの影響を、最小限の費用ですばやく確認できます。JMPには実験計画の最先端の機能が備わっているため、あらゆる問題に対する答えを見つけるための最適な実験を計画できます。また、JMPには使いやすい分析手法が豊富に揃っているため、実験に合った手法を選ぶことができます。
分析したい問題を教科書的な計画に合わせようとするのではなく、予算に応じて、計画を問題に合わせることができます。JMPの優れたカスタム計画の機能を使えば、時間や予算を始めとする制約が考慮され、問題に合った実験計画を作成できます。
データ分析には、実験機器の温度設定やトウモロコシ畑の位置など、簡単に順序変更できない変数が含まれるのが普通です。完全にランダム化された計画だと、実験のたびにこれらの変数をリセットしなければなりません。これは明らかに非現実的であり、費用面から考えても不可能でしょう。そのような状況に最も適しているのが分割実験です。JMPでは、I-最適分割計画、2方分割法計画、2段分割法を作成できます。JMPには、実験計画を出力したデータテーブルに、適切な変量効果が指定されたモデルも設定されているため、正確な分析が簡単に行えます。他の市販されているソフトウェアでは、これほど柔軟な分割実験のための機能は提供されていません。
カスタム計画に加えて、従来型の完全実施要因計画、スクリーニング計画(一部実施要因計画)、ブロック因子を含む計画、応答曲面計画、非線形計画、配合計画、加速寿命試験計画、因子に不等式の制約を設定可能なクラスター分析法を用いたSpace
Filling計画といった、コンピュータシミュレーション用の計画も作成できます。
JMPは、決定的スクリーニング計画を実装した最初のソフトウェアです。「決定的スクリーニング計画」は、過去20年間に開発された計画の中で最も重要と言えるもので、大きな効果を持つ極めて重要な因子を、影響力の弱いその他の因子から効率的かつ高い信頼性を持って分離することができます。決定的スクリーニング計画を使用して、従来型の2水準のスクリーニング計画と同程度の費用で主効果、2乗効果、2因子の交互作用の情報を取得できます。
古典的な方法を使う理由は、もうありません。
統計モデリング
統計モデルは、データをシグナルとノイズに分けることで、傾向やパターンを明らかにします。その結果、ユーザーは、自身の事業、競合他社、および顧客についてより多くを知ることができ、最良の方法で問題に対処し、事業の成長を促すことができます。
役に立つモデルを作成するには、統計的知識以外のものも必要です。JMPには、手持ちのデータから効果的なモデルが作成できるよう、一連の統計手法が用意されています。予測が可能なだけでなく、最高のパフォーマンスを得るための因子の設定の特定もできます。JMPには、さまざまな線形、非線形モデルへのあてはめの機能が用意されています。これらを使用すれば、データにどんな関係が見られる場合でも正しい判断を下すことができます。
JMPのモデルあてはめツールの中核を成すのが「モデルのあてはめ」プラットフォームです。モデルのあてはめにより、モデルの中に含める因子を指定することができ、標準最小2乗法、ステップワイズ法、すべての可能なモデルから、手法を選ぶことができます。ドラッグ&ドロップ操作で、対話的にモデルの変更ができます。その他、MANOVA、反復測定データの分析、一般化線形モデル、対数線形分散モデル、ロジスティック回帰(名義尺度および順序尺度)など、その他のモデルも構築できます。
JMPではまた、REML法による変量効果を含む混合モデル、主成分分析、多重対応分析、PLS回帰、クラスター分析、項目分析、パーティションモデルなどの高度な多変量分析の手法も利用できます。
「二変量の関係」プラットフォームは、説明変数と目的変数間の関係をモデル化するツールです。このプラットフォームでは、単回帰、ロジスティック回帰、ANOVA、平均分析法(ANOM)、分割表の分析がサポートされています。「モデルのあてはめ」は、変数の尺度に従って動作するため、プラットフォームの各種設定機能を使う必要がないケースでは、自動的に標準的な手法が採用されます。
乱雑なデータから意味のある結論を引き出すには、変数または応答を1つずつ根気よく調べ、重要な因子を見つけなければなりません。特に欠測値や外れ値が含まれているデータでは、面倒な作業になりがちです。
JMPでは、1つのXに対して何千ものYがある場合などに、どのXによってYが変化しているかスクリーニングするための機能が用意されているため、多数の列が候補となるモデルを作成するときに役立ちます。FDR(False Discovery Rate; 偽発見率)などの最新の有意水準調整手法も、有用な結論を導き出すのに便利です。
JMPの「曲線のあてはめ」プラットフォームでは、簡単な操作でデータに非線形モデルをあてはめることができます。ライブラリからモデルを選択することにより、バイオアッセイや薬物動態学の分野でよく使われるモデルのあてはめを簡単に行えます。また、計算式を定義することにより、どんな非線形モデルにもあてはめることが可能です。
高度なモデルのあてはめ機能として、ニューラルネットワークモデル(「ニューラル」プラットフォーム)やディシジョンツリー(「パーティション」プラットフォーム)があります。
どのようなモデル化の手法が必要な場合でも、JMPなら効果的なモデルを簡単に作成できます。
what-if分析
せっかくモデルを作成しても、それが改善や変更に活かされなければ意味がありません。JMPでは、モデルの結果を対話的に操作することができ、応答の予測値のパターンや各因子が応答に与える影響を視覚的に理解できます。JMPでは、モデルの構築方法に関わらず、動的にモデルと対話ができるツールであるプロファイルが用意されています。プロファイルを使えば、応答曲面を視覚的に調べられ、応答に対する因子の影響や、応答曲面の断面図を表示できます。
JMPでは、次のようなこともできます。
- 応答に対する満足度関数を設定し、応答全体で満足度を最大にする因子の最適設定を見つける。または、コストと歩留りなど、応答におけるトレードオフを対話的に検討します
- モンテカルロシミュレーションを使用して、応答の分布が不確かな場合のリスクを予測します。連続変数に対しては、22種類の分布から、カテゴリ変数に対しては、各水準の確率を設定可能で、シミュレーションの結果はデータテーブルに、マウス操作で簡単に保存できます
- 応答の限界値などを設定することで、それを等高線上に表示して、実行可能な領域を特定します
- さまざまなプロファイル機能を使用して、応答の予測値を可視化します。
- インタラクティブHTMLやFLASHファイルへ出力すれば、JMPを使用していないユーザーとも結果を共有できます
信頼性分析
製品の故障を防ぎ、よりよい保証を行うには、信頼できる技術を用いて製品の長期的な品質を把握する必要があります。JMPを使えば、材料や工程に潜む欠陥を的確に見つけ出すことができます。また、デザインの脆弱性を特定し、最善の修正案を準備することもできます。
製品や部品の寿命予測を行うために、最適な分布を特定しなければならないことがあります。JMPは、さまざまな寿命分布を自動的に評価して、最もあてはまりの良いものを見つけ出します。JMPの「寿命の一変量」では、ノンパラメトリックなあてはめに加え、さまざまな種類のパラメトリックな分布をあてはめることができ、その比較や評価を視覚的に行えます。
JMPには、信頼性分析のための機能が豊富に揃っています。
- 寿命分布のあてはめ
- 因子が1つの場合の寿命分布のあてはめ(加速寿命モデルなど)
- 修理可能なシステムに対する再生モデルによる分析
- 製品の劣化、破壊劣化試験のモデル化
- 生存時間モデル、パラメトリックな生存時間モデル、比例ハザードモデルの推定
- 加速寿命試験の実験計画
- 信頼性成長に対するCrow-AMSAA分析の実行
- 故障数データから保証期間内の返品数の予測
- 同類のシステムを調べるための並行システム分析
- 複数の独立したシステムの信頼性成長をシステムやフェーズごとに分析・比較するための並列システム分析
品質と工程の管理
市場は常に改善を求めています。そのため、企業は製品化までの時間を短縮し、顧客の苦情を最小限に抑えてブランドを守り、常に顧客の期待以上の製品・サービスを提供しなければなりません。JMPには、品質問題を解決するためのツールが揃い、さまざまなグラフ機能と統計機能が用意されています。
JMPでは、各種管理図で工程を監視することも、JMP独自の「管理図ビルダー」でドラッグ&ドロップ操作により管理図を作成することもできます。「管理図ビルダー」は、「グラフビルダー」と同様の手順で工程データからシナリオ分析を実行でき、多くのサブグループ変数とフェーズ変数が工程に及ぼす影響を調べることができます。静的な管理図とは異なる角度から、問題を捉えることができます。
「測定システム分析」プラットフォームは、Donald J. WheelerのEMP法(Evaluating the Measurement Process)などの手法をサポートしています。JMPに用意されているその他の品質管理の機能としては、Gauge R&R分析、パレート図の作成などがあります。これらの機能により、測定プロセスにおける変動要因の可視化、製品の不適合の評価、また工程の安定性の監視が容易に行えます。また、JMPでは、管理状態から外れた状況の調査や、原因の分析も可能です。
消費者および市場調査
マーケティングは、もともと複雑なものである上、デジタル時代の到来以降、急速な変化を遂げています。しかし、鍵となる要素は今も変わりません。それは最も収益性の高い成長機会を見出すこと、最良の製品・サービスを開発すること、最善のマーケティング活動を行うこと、そして活動の相乗効果を最大化することです。他社との競争に勝ち残るためには、自社ブランドの認知度を高め、顧客からの声に耳を傾け、それを製品やサービスに反映させなければなりません。使用するデータが一次データと二次データのどちらであっても、調査が探索的でも記述的でも因果的でも、JMPに用意されている包括的なツールを使えば、定量的、定性的データの両方からすばやく簡単に価値を得ることができます。
JMPでは、消費者調査のために次のような機能があります。
- さまざまなデータに対する予測モデルを構築するための最新のデータマイニング手法
- カテゴリカル(アンケート)データ分析
- フリーテキストにおいて、単語の頻度をカウント可能。また、単語が出現したかどうかを表す指示変数を出力可能(単語間がスペースで区切られている英語などの言語のみ対応(日本語には未対応)
- 各種外部ファイル形式のデータの読み込み機能(SPSS、Triple-Sなど)
- 単数/複数回答型式のアンケートを簡単に集計、分析
- 消費者のフィードバックに基づいて商品のデザインを最適化するための選択モデル実験
- 因子分析
- セグメント化とクラスター分析(k-meansと階層型)
- 多重対応分析
JMPを使用すれば、ユーザーの知識レベルにかかわらず、消費者に関する新しい洞察を素早く得られます。さらに、発見した内容を関係者間で検討し、迅速な行動に移すことが容易になります。
結果の共有
高度な分析が終了した後に、基本的なツールを使用して視覚的な分析を実行することは、多くの場合、結果を伝えて行動を促すための最善の方法です。JMPは対話的な操作が可能なため、グラフそのものではなくグラフの意味を共有することができます。これにより、複雑な結果を分かりやすく伝えることができるのです。
たとえば、プロファイルを使えば、モデルの意味を、即座に理解可能で効果的な方法で共有できます。JMPで作成したグラフを見れば、分析結果を伝えた相手は、どんなデータかを知ることができるため、適切な質問をして、ユーザーが見つけたものやユーザーが作成したモデルをより深く理解できるようになります。データから価値を見出しやすくなり、組織にとって最適な決断をすることが容易になります。
分析結果を、JMPを使用していない人と共有するための選択肢も多く用意されています。JMP Liveで共用すれば、外出先でも探索ができます。PowerPointプレゼンテーションをワンクリックで生成したり、ブラウザを備えた任意のデバイスで対話的に見ることができるJMPのレポートを表示したりできます。JMPでは、プレゼンテーションや印刷に適した高品質のグラフを、さまざまなファイル形式で作成できます。
ダッシュボードにより、結果を素早く簡単に表示できます。また、ダッシュボードビルダーの機能を使い、マウス操作でJMPレポートをプレゼンテーションでそのまま使えるダッシュボードとして結合することもできます。マウス操作で選択フィルタを素早く追加し、1つのグラフを使って別のグラフの絞り込みもできます。
JMPを使って作成したインタラクティブHTMLレポートの例
自動処理とスクリプト
JMP User Communityでアイデア、スクリプト、アドインを共有
拡張性のないソフトウェアを導入すると、その時点のニーズは満たされても短期間で時代遅れになり、また新たなソフトウェアを購入する羽目になります。JMPには、スクリプトを始めとするさまざまな拡張機能が備わっているため、ビジネスの変化や、規模の拡大などに伴って次々と生じる課題にも、柔軟に対応できます。
充実したJMPスクリプト言語(JSL)を使用すると、対話的に作業し、結果を保存して再利用できます。パワーユーザーであれば、JMPの基本機能にはない新しい機能を追加して、問題の解決を図ることも可能です。また、これらのカスタムスクリプトを使って、SAS®、MATLAB、Rなど、他のアプリケーションの機能と連携することもできます。
JMPの自動処理とスクリプトの機能で、次のことができます。
- ユーザーがコードを書かなくても、分析レポートを再現するためのスクリプトを保存することが可能です
- データテーブルに保存されているスクリプトを実行して、レポートを再現することが可能です。ユーザー自身のため、または分析手順を他者に説明するために使用できます
- JMPで新しい機能の開発を行えます。JMPのスクリプト言語とスクリプトの機能により、今まで困難だったことが可能になります
作成したスクリプトが意図したとおりに動作しない場合は、JSLデバッガを使用して対話的に各コード行の変数を調べ、原因を突き止めることができます。さらに、JSLプロファイルを使用すれば、ルーチンの各ステップが完了するまでの時間を監視しながら反復的にコードを最適化し、スクリプトの速度を効率的に高めることができます。
JMPのカスタマイズ
ソフトウェアの設定を思い通りにできれば、作業効率も向上します。設定、グラフ、出力を始め、色にも一貫性を持たせることで、データが理解しやすくなります。JMPでは、環境設定を通じて、プラットフォーム内のフォント、グラフオプション、詳細設定を制御できるため、ユーザーが好む方法で分析ができます。また、よく使う分析ツールやメニューのみを表示するように選択することもできます。
JMPでカスタマイズできる項目は以下のとおりです。
- グラフの軸の設定、スタイル、グラフ、色
- JMPレポートに表示する統計量およびグラフ
- 新しいデータをすぐに使える形式で素早く取り込むための、事前の読み込み設定
- スクリプトの作成やアプリケーション開発用の環境
分析ハブとしてのJMP:SAS®、MATLAB、Rとの連携
SAS製品群の1つであるJMPからは、SASの優れた分析機能を利用できます。SASの分析力、レポート作成力、データ管理能力を利用すれば、デスクトップ型のJMPの機能をサーバー以上のレベルに拡張できます。また、JMPは、他の解析ツールと併用することもでき、MATLABの機能、DLLの呼び出し、Rの充実したライブラリへのインターフェイスを備えています。簡単な操作でこれらのリソースにアクセスし、結果をJMPに読み込めば、JMPの可視化機能と分析機能を利用できます。JMPのワークフローにSASや、MATLAB、Rのアルゴリズムや機能をシームレスに統合できるため、それらがJMPの一部のように感じられるでしょう。
スプレッドシート内のデータは活用されていますか?
Microsoft Excel用のJMPアドインを使えば、Excelのデータを簡単にJMPに読み込むことができます。また、スプレッドシートのモデルにJMPの「プロファイル」をリンクし、JMPの可視化機能を有効活用できます。